出版社内容情報
「いつか死んでしまう」という事実を前に、どのように生きていけばいいのだろうか--。
小屋暮らしの著作で注目を集めた著者が、仕事、旅、宗教、孤独、他人、文明といったテーマを手がかりに、どうして死はこんなにも怖いのかを独特の視点で語る。
内容説明
「永遠の無」の恐怖について、小屋暮らし、仕事、旅、宗教、孤独、文明といったテーマを交え、独特の視点で綴ったエッセイ集。
目次
危機
永遠の無
世界の神秘
問いの在り処
他人と孤独
対症療法としての逃避と忘却
執着と諦観、信頼と不信
文明
自己矛盾
旅の動機
宗教
人生の意味
小屋暮らし、再び
著者等紹介
高村友也[タカムラトモヤ]
1982年静岡県生まれ。東京大学哲学科卒業、慶應義塾大学大学院哲学科博士課程単位取得退学。2009年に山梨の雑木林に土地を購入し、小屋を建てて生活。2018年から東京暮らし、2021年の暮れよりまた小屋暮らし(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kuukazoo
14
著者は死ぬこと=存在の消滅を恐れている。肉体がなくなり自分という意識が消えることを。わたしもまさに同じことを恐いと思っているので読んでみた。宗教も哲学思想も根本的な救いにはならない。この本の終わりに到っても著者は答えを見つけられなかったしわたしにとっても答えにはならなかった。しかしこれだけ死についてとことん考えられるのもすごいと思う。ジャンケレヴィッチって人の引用がよく出てくる。全く知らなかったので調べてみよう。あと著者は山奥に土地を買って小屋建てて住んでいるそうで(鴨長明のようだ)そっち方面も興味深い。2022/08/31
アヒル
4
共感と観察。2022/08/25
at@n
3
筆者ほどではないが、自分にもタナトフォビアの傾向がある。永遠の闇が怖い。筆者はタナトフォビアという概念自体を疑問視しているが。小屋を作り、ただ生きるということで平穏が得られるのか、まさに生きてみないとわからないということでまた著書を読みたいと思った。2022/06/27
ロックスターKJ
2
評価:★★★☆☆ 3点 小屋生活の本やブログで知っているだけだったので、こういう内容かと少し驚いた。自分も哲学科だったが、こういう思考には至らなかったなぁ。2022/07/11
geoff
1
自分の生を脅かす問題を考えるべく哲学をする著者の本。単なる思弁的お遊びや、研究者として一定の新規性を持つ論文を書くための哲学のお勉強ではない。だから、胸に迫ってくる。13章の最終行「生きてみる。これしか言えない」という言葉が重い。 私自身は普段は大丈夫だが、ルーチン化した心気症の波が来るときだけ、自分の存在が消滅する未来が頭を支配し、全てが無意味に思えて物事が手につかなくなる。短い人生を楽しもうとは一切ならない。自殺願望は一度も持ったことがない。私として、少なくとも何千年かは生きていたい..。2024/04/02