出版社内容情報
エリック・カンデル氏、ダニエル・デネット氏推薦!
意識はどこから生まれてくるのだろうか。現在の神経科学が前提としている「意識は大脳皮質から生まれる」という前提が誤っていることを指摘し、客観的な研究と臨床からの主観的な報告の両方を対等に尊重していくという方法論によって、意識がどこから生まれてくるのかをという難問に挑む。神経心理学者であり、精神分析家でのある著者が、これまでの自身の研究の歩みをまとめながら、意識の謎を解明した注目の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Isamash
32
マーク・ソームズ・ケープタウン大(南アフリカ)心理学科教授2021年著作の訳本。著者は神経精神分析学会創始者で、無脳症の子供の表情などから、意識は大脳皮質でなく脳幹で発生すると説く。更にコンピューターの電気的信号の中で意識は生ずると予測。飼っていたイヌの喜怒哀楽表現やAIで思考・学習ができるのだから、直感的には同意できるところ。ただ科学的にはまだ未知そのものの状態であることが本書を読んで判明。本書でも指摘しているが人間より優れた知能と意識、特に生存本能を併せ持った時、人類を敵と見做すことへの恐怖は感じた。2022/08/17
MO
8
1)感覚をシステムの予測と一致するように変化させるために、動作することができる。これが動作です。 2)より良い予測を生み出すために、世界の表層を帰ることができる。これが知覚です。 3)入ってくる予測の誤差に最適に一致させるように、制度を調整することができる。これが意識である。2022/04/12
mim42
6
■精神分析的観点からの意識へのアプローチ。フロイト再発見、「リビドー」の科学的説明。チャーマーズの批判的継承。カオスになりがちな哲学的議論を科学的方法で捌く。■主要ポイントは、既存研究の1)意識は大脳皮質ではなく皮質下の網様帯賦活系で生成, 2)意識は感情的, 3)意識はホメオスタシスが拡大したもの, に4)自由エネルギー原理 が加わった点。■客観的なものが主観的を生み出すのではなく、情報の二つの観察の視点。■PAGに集まる複数情報から随意的選択, 顕現的入力誤差信号の精度と記憶再固定化。■意識工学3段階2021/09/05
Akiro OUED
4
答え:脳幹上部の組織が欲動に順序付けするとき、意識が生まれる。で、フリストンの原理が順番を決める。論理的だね。じゃ、動物同様、自らをエントロピー増大の嵐から守ろうとする植物も意識を持っているんだろうか。あるとしたら、ヴィーガンの人たち、食べるものがなくなるね。驚きの一冊。2022/09/19
Go Extreme
4
夢の素材 フロイト以前とフロイト以後 大脳皮質論の誤謬 何が経験されるのか 感じ 源 自由エネルギー原理 予測階層 意識はなぜ・どのように立ち上がるのか 大脳皮質に還る 意識のハードプロブレム 心を作る2021/08/28