出版社内容情報
百花繚乱の驚異、ここから始まる。
絵もなければ、会話もない。そんな本はいったい何になるの? アリスの素朴な疑問が、退屈と倦怠にまみれるヴィクトリア朝社会を、〈驚異〉頻出する魔術の帝国へと変貌させる――。綺想に彩られた「アリス」物語の無限の可能性を、大胆に拓く論考。
内容説明
百花繚乱の驚異、ここから始まる。絵もなければ、会話もない。そんな本はいったい何になるの?アリスの素朴な疑問が、退屈と倦怠にまみれるヴィクトリア朝社会を、“驚異”弾ける魔術の帝国へと変貌させる―。綺想に彩られた「アリス」物語の破天荒の可能性を、大胆華麗に切り拓く―。
目次
第1部(アリスに驚け)
第2部(メルヴィル・メルヴェイユ―柴田元幸讃;意外にして偉大な学恩 沼野充義讃;ボルヘスと私、と野谷先生 ほか)
エピローグ(ヴンダーシュランクに書店の未来)
著者等紹介
高山宏[タカヤマヒロシ]
1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在は、大妻女子大学副学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akito Yoshiue
13
高山先生のアリス論の集大成。これまでの論考、翻訳がつながりながら前へ進む。興奮しながら読んだ。2020/10/01
袖崎いたる
7
高山宏のクセのある……のはいつと通り。不思議の国のアリスを文化史のテキストとして読んで読んで読み倒す表題作には目を回す。いやはや、わからぬ。ただこの人の文章にはなんというか精神がある。その精神に触れることの悦びみたいなのがあって、學魔だのと呼ばれたり神だのと自称したりする、その生き様にビリビリと魅せられてしまうのよ。巻末にある弟子・後藤護の文章もまた良い。高山宏との出会いやらが語られていてそのお人柄をマニエリスム的なものとして接することができる。マニエリスムが何かだって?わからん。2022/02/07
amanon
6
著者のテキストを読むたびに学部生時代に読んでおきたかったと思うことしきり。あんなに面白くないと思い込んでいた英文学がアプローチ次第でこんなに面白くかつスリリングなものになるのか!と毎回のごとく目から鱗が落ちる思いがする。本書でも言及されているように、驚愕なのはその膨大な知識量と、それを様々なやり方で結びつけるセンス。そしてその軽妙洒脱な語り口。これは若い時に読んでいたら、もっとやられること請け合い。個人的にとりわけ印象的だったのは、橋本治追悼文。これが橋本氏の学会からの再評価の嚆矢となればよいのだが。2024/05/23
毒モナカジャンボ
2
ぼーっと生きていたため、柴田元幸氏が定年を迎えたことも柳瀬尚紀が死んでいたことも知らなかった。博覧狂気の高山節は、高山ファンなら見知った「クラシック」のタイトルが引かれまくっているが、相変わらずテクストを大風呂敷よろしく拡げる力が強すぎる。アリスの冒頭だけでどれだけ引っ張ってこれるのか。東京大学英文学研究室の蔵書目録を一人で作り上げる過程で、指と手と脳が職人的力をもって連携し始める。橋本治論と和田誠追悼が本当に面白い。丸っと飲み込むか全部ダメかしかない、という高山宏のホッケ評は跋文の高山宏にも当てはまる。2021/01/16
monado
2
高山宏の集大成でありながら、新規性がないかといえばそんなこともない。追悼文が多いのが悲しいが、あとがきといい、まだまだその世界は広がるのだという希望を感じられる。2020/11/13
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- 和書
- 後宮の検屍女官 角川文庫