宇沢弘文の数学

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784791771004
  • NDC分類 410
  • Cコード C0030

出版社内容情報

数学を「社会的共通資本」にするために。
戦後を代表する経済学者、宇沢弘文の打ち立てた「社会的共通資本」とは、人間に不可欠の基盤的装置、市場取引や競争に委ねることが許されない資本の総称であった。数学もまた、社会的共通資本ではないか。宇沢理論を引き継いだ「小野理論」や「帰納的ゲーム理論」を紹介しながら、技術性に偏りすぎた数学の壁を乗り越える。宇沢弘文に親炙した著者による、数学と経済学のリハビリテーション。

小島寛之[コジマヒロユキ]
著・文・その他

内容説明

戦後を代表する経済学者、宇沢弘文の打ち立てた「社会的共通資本」とは、人間に不可欠の基盤的装置、市場取引や競争に委ねることが許されない資本の総称であった。数学もまた、社会的共通資本ではないか。宇沢理論を引き継いだ「小野理論」や「帰納的ゲーム理論」を紹介しながら、技術性に偏りすぎた数学の壁を乗り越える。宇沢弘文に親炙した著者による、数学と経済学のリハビリテーション。

目次

第1章 ケインズから宇沢弘文へ
第2章 宇沢弘文は何を主張したのか
第3章 社会的共通資本としての数学
第4章 統計学は世界を変え得るのか?
第5章 ゲーム理論の原点回帰
第6章 二一世紀の宇沢理論―小野理論・帰納的ゲーム理論・選好の内生化

著者等紹介

小島寛之[コジマヒロユキ]
1958年東京都生まれ。経済学者。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。専門は数理経済学。現在、帝京大学経済学部教授。数学エッセイストとしても活躍しており、難解な理論を社会へひらいている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

106
宇沢先生の人となりや業績を、大学の正規の弟子ではない小島先生がご自分の論文を含めてまとめた本です。市民セミナーでの出会いがこの作者を経済学に導いたということで、宇沢先生への想いが詰まっています。私もシカゴから帰られたときに講義を聴講した覚えがあるのですが、かなり早口で数式が数多く出てくるのでかなり難儀したことを思い出しました。いい本です。2019/07/19

樋口佳之

36
先生は、このミニマム・インカムについて、「お金を給付するのではなく、社会的共通資本の整備で」と主張している。/通常の財に比べて、生活に不可欠な医療・教育などの財(価格弾力性の低い財)のほうが価格上昇の程度が大きくなる。したがって、お金の給付では貧困者の生活水準はどんどん悪化してしまう、ということが根拠/市場の「外側」に、重要な何かが存在することを示している。道徳的・倫理的規範といったものが、人々の選好の変化を通じて、行動に作用する2019/05/27

trazom

26
宇沢先生と同じように、東大の数学科から経済学者に転向された著者が、尊敬をこめて宇沢先生の業績と数学を語る。宇沢先生が、反社会的な結論にも全く心の痛みを感じない新古典派の批判に至ったこと、ストックの時間微分がフローであるという「時間」の概念に敏感であったこと、ピグーの「外部不経済」の概念を評価して環境問題に取り組んだこと、そして、社会的共通資本の概念に到達された足跡が語られる。統計学とゲームの理論の数学的変遷を詳述し、宇沢先生の業績を辿る著者の文章は、先生への尊敬と愛情に溢れていて、とても心が温かくなる。2019/05/30

呼戯人

20
宇沢弘文の経済学を数学の側面から数式を使わずに説明した分かり易い本。著者の小島寛之は宇沢と同じく東大数学科から経済学に転身し、宇沢の教えを直接受けた弟子筋に当たる人。文章は分かり易く滑らかで、楽しく読めた。特に第二章の社会的共通資本を数学の側面から分析した論文が面白く、宇沢の二部門経済成長モデルがマルクスの影響を受けた後、それを数理経済学の数式で著したものだとする見解に、宇沢の発想の根源を見たような気がした。しかし、宇沢は資本主義も社会主義も超えてという。新しい世界が開けてゆくような気がした。2019/05/21

月をみるもの

19
"ゲーム理論を専門とする経済学者・松井彰彦は、「障害」について、次のような非常に興味深い主張をしている。すなわち、「障害」というのは、絶対的に固有に存在している身体状態というのではなく、社会通念によってフィードバックされる「関係性の問題」である、ということだ。例えば、我々は二階建ての家屋には通常はエレベーターをつけないが、一四階建ての建物ならエレベーターをつける(法的に義務付けられている)。”  → つづく2019/08/30

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