出版社内容情報
私たちが知っている微生物はまだ全体の1%ほど?その謎は地球の内部に存在する微生物にあった!!「地下にもまた、地上に匹敵する数の生物がうごめいているのである。ひとつかみの土の中には10億もの生物がいるという。本書は、知られざる地下の生命王国を紹介したとても興味深い読み物だ。」( 読売新聞 池田清彦氏 書評) 待望の復刊!!
内容説明
高温高圧で繁栄する極限環境微生物、進化の歴史を書きかえた古細菌、植物を養う菌類の共生ネットワーク…。地上だけではわからない生物学の魅力をあますことなく紹介するガイドブック。
目次
第1部 古代生命(起源;住める世界;系統樹を揺さぶる)
第2部 地球のための生命維持(窒素循環;地下の結びつき;卑小なものの偉大な意味;病原体戦争)
第3部 人的な要因(危機に瀕するプレーリードッグ;大地)
著者等紹介
ウォルフ,デヴィッド・W.[ウォルフ,デヴィッドW.] [Wolfe,David W.]
コーネル大学総合植物科学部教授。専門は植物・土壌生態学。土壌保護や、気候変動が植物と土壌へもたらす影響を研究の焦点にする
長野敬[ナガノケイ]
河合文化教育研究所主任研究員。自治医科大学名誉教授。生物学・生命論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
63
本書の帯には、大きな文字で、「ダーウィンはなぜ、ミミズに熱中したのか?」とある。 ミミズの研究の本なのか?! しかし、同じく帯の下にはこれより小さな文字で、「ひとつかみの土の中には、10億の生き物がいる!」とある。が、さらにまた小さな文字で書いてある説明が本書の中身を示している。
しゅわっち
16
面白かった。生命の起源が、土から発生した可能性を説明してくれて、納得するものであった。土の中で、生命が長い期間育まれ、色々進化し、地上での歴史よりも長さを感じる。空気内にある窒素を栄養にする難しさが書かれている。マメ科の作物が輪作でいいのは、根に共生してる菌が、窒素を栄養として供給できるからと知った。最近 腸内細菌見直しがされているが、農業地も同じように土中生物の大切さが書かれている。短期間の利益のために一部成分を供給しても、共生してるシステムを壊す行為は、長期の利益をなくす行為と理解できる。2019/05/08
GASHOW
9
地球に38億年の生命の繁栄と同数の死骸がころがっていないのは分解してくれる仕組みのおかげだ。特に窒素固定をするマメ科の根につく菌がないと生命の窒素循環ができず生命が滅びてしまう。その菌の絶滅は生命の絶滅の原因になりうるとは人知れない恐ろしい事実だ。地中について人類は知らないことが多いようだ。2017/02/27
勝浩1958
4
備忘録「高熱を好む好熱古細菌が最も古い進化史をもつという事実、つまり普遍的な系統樹の根元に位置するということは、生命が地下の深部あるいは海洋の火山性の噴出口周辺の堆積物中のような高温環境で始まったという仮説を裏付ける強力な証拠となる。」「地球の窒素循環の大部分を管理して、全生物を維持できるだけの量を急速に大量生産しているのは地下に住む特殊な生物だ。これらのものが何億年もかけてゆっくり進化してきたその間に、生物圏は拡大し、窒素の要求が増してきた。」2022/07/09
人生ゴルディアス
4
とても面白く一気に読んでしまった。てっきりひたすら菌類の話をするのかと思いきや、生命の起源からみんな大好き窒素固定や循環の話、土壌の病原菌からはては抗生物質まで。大型の生き物だとミミズや穴掘り梟、プレーリードッグも出てきた。代謝については何度読んでも理解が心もとない…が少しずつ分かってきた気もする。真核生物、細菌、古細菌についても少しずつ理解が進んできた。窒素循環の話も面白かった。苦労して固定した硝酸塩をなぜ窒素ガスに戻すのかと思えば、そうしないと海にたまり続けるからとか、なるほど…よくできている。2019/10/29