内容説明
学生・親・先生…、教育に関わるみんなが困っている。このようなブラックな社会はどのように出現してきたのか。教育の現場はどのように崩壊しつつあるのか。教育問題を基点に、私たちが直面している社会のリアルを暴き出す。
目次
第1章 なぜ格差は生まれ、教育はこんなに貧しくなったのか?―斎藤貴男×大内裕和(「ゆとり」から「学力向上」へ;データベース化される「学力」 ほか)
第2章 なぜ生徒も先生もこんなにタイヘンになったのか?―佐々木賢×大内裕和(労働が変わっていく時代に;「高卒就職」が変わった! ほか)
第3章 なぜ就活がこんなにタイヘンになったのか?―児美川孝一郎×大内裕和(教育学と大学を問い直す;「キャリア支援教育」のリアルとは? ほか)
第4章 なぜ学生はブラックバイトをしなければならなくなったのか?―今野晴貴×大内裕和(ブラック企業からブラックバイトへ;これは「若者問題」ではない ほか)
著者等紹介
大内裕和[オオウチヒロカズ]
1967年生まれ。専門は教育学・教育社会学。松山大学人文学部助教授を経て、2011年より中京大学国際教養学部教授。奨学金問題対策全国会議・共同代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
25
斎藤貴男氏:文科省の役人、政治家、学者、マスコミは全て自分自身を勝ち組と思いこんでいる(26頁)。大内裕和教授:官僚が新自由主義のエージェントとなっていること(33頁)。斎藤氏:安倍総理は再チャレンジを言うが、フリーターにしかなれないのが現実(42頁)。まさに、湯浅誠教授のすべり台社会そのものが格差社会で、総理は2回目できるが、正規に返り咲くことはふつうの人には年齢アウトで無理ムリショー。2015/07/06
まゆまゆ
7
対談集。ゆとり教育が改正されたのは新自由主義を助長しただけ。エリート教育実習主義で差別化を図っていることが実態だ。自由や選択を増やすといったかけ声は結局は格差を拡大し、自己責任を蔓延させるだけだった。頑張ればなんとかなるという精神論が教育から就職への接続時に通用しないのは明らか。しかし具体的な対策は現場である学校に丸投げ。教育が変われば世の中がよくなるといった幻想を木っ端微塵に打ち砕く内容。2015/07/22
つじつじ
2
どんどん格差が広がって八方塞がりになる人びとが増えているのが、日々感じます。難しい問題が山積してますね。とにかく、ブラックバイトに関しては、身近な人や家族の助けが大事ですね。2015/06/27
じゅんじゅん
1
教育の出口にはいったい何が待っているのか。教育問題と労働問題、大学を卒業しても経済的に自立できない。教育現場だけでは解決できない問題がてんこもり。希望のある社会へと旅立たせてあげたいのに、これが今のリアルなのか・・・。2015/08/11
Mc6ρ助
1
『・・・日本社会が再生産不可能な状況に陥っていることを痛感しています。・・・急激な出生数の減少は、もはや再生産不可能社会の到来と呼べる状況だと思います。』(p194)それはもっともで、それが、『第一章~第四章の対談を通して見えてくるのは、新自由主義グローバリズムの暴力が「教育と労働」という領域に襲いかかっている現状である。』(p204)ことはすごくよく理解できた。良書。でも多国籍企業の要求に応じて、世界各国が規制緩和を進め、各国が同様の問題を抱える中で、日本の少子化が際立っているのはなぜ?2015/08/22