内容説明
時代と添い寝し、人と人とのあいだをまなざし、そのときどきの問題を犀利にえぐりだす。現場と伴走しつつ思想を鍛え、まだ見ぬ現実をひきよせようとする社会学者の軌跡。
目次
第1章 上野千鶴子を腑分けする―×小熊英二
第2章 団塊世代は逃げ切れるか―×北田暁大
第3章 幻想はリアルになる―×萱野稔人
第4章 古事記はなぜ生きのこったのか―×三浦佑之
第5章 戦後思想はこう読め―×岩崎稔×成田龍一
第6章 団塊世代はどう責任をとるか―×鈴木敏夫
著者等紹介
上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年生まれ。東京大学名誉教授。立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授。認定NPO法人WAN(ウィメンズアクションネットワーク)理事長。日本における女性学・ジェンダー研究のパイオニアにして第一人者。近年はケアや介護の現場にも関心を持ち、積極的にとり組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白玉あずき
15
これ面白い! 特に北田さん、萱野さんとの対談はわくわくして痛快。人間の脳は怠け者だから、複雑な現実を自分の脳力で理解できるようにしか受け取れない。そこを小気味よく突いてくる方々の話は、やっぱり人文科学っていいなあと思わせてくれる。「差別均衡」「平等均衡」の説明でもって、日本型雇用慣行をフェミの立場から批判した部分は功罪半ばではないかと思ったりするが、上野先生ったら本当に舌鋒鋭く気持ちよいこと!「言論の力で世界は変わるか?」全文をここに引用したいくらいなのですがやむなく我慢します。2015/09/20
鳩羽
7
『セクシュアリティをことばにする』が性や身体といった私的領域の対談が収められていたのに対して、こちらは国家や近代や文学といった公的な領域に関する対談が多く、前提とする知識がなかったので難しかった。著者が影響を受け、何を研究対象にしていったかを腑分けする第1章や、団塊世代についての第2章、第6章が面白い。だんだん当事者主権の考えに固まっていったのも、自分の性や身体、年齢、世代と向き合い、その時々にぶつかる問題を人任せやメタ任せにせずにしてきた結果なのだろう。2015/07/29
たろーたん
4
見物の論戦は上野千鶴子VS北田暁大だ。左派知識人を経済音痴と叩きまくり、「左派はロスジェネを見殺しにした」「アベノミクスを正しく理解できていない」「反アベに陥っている」と言っていたが北田が、彼が批判する左派知識人の巨頭である上野千鶴子をどう攻めていくのか。しかし、読んでみたら、まさかの北田暁大フルボッコでした。まあ、2008年だしね、彼はまだ上記のような感じじゃなかったのかもしれない。ただ、東浩紀の評論を持って行って、「団塊世代よ、逃げるな!」と戦っていたので、もうちょっと食らいついてほしかった。(続)2024/11/16
たろーたん
2
最初の相手は小熊英二だが、あまり良い対談ではなかった。上野千鶴子がまな板の上の鯉となり、上野の思想「私と公」「消費社会」「慰安婦」等がどこから出てきたか、なぜ出てきたかを明らかにしてくれる。だが、上野千鶴子は割とメタ的に自分がなぜこの時代にこれを言ったのかを他の本でも書いており、あまりそれ以上のことはなかった気がする。また、ジェンダーやセクシュアリティに興味はあるが、上野千鶴子本人にはあまり興味がなかったので、上野千鶴子そのものが好きな人にはいいかもしれないが、私には合わなかった。(続)2024/11/25
Naomi
2
この本の中で対談されている方々の持っていらっしゃる語彙が、私の生活の中にある語彙と違っている。本当に日本語なのか…、誰かに簡単な語彙に訳してもらいたい。 なので、なんとなく書かれていることはこうなのかなという、私なりの理解で読んだ。読んで面白くないことはなかった。 ジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんとの対談は、ジブリ作品を違った方角からみれて良かった。2015/08/11