内容説明
心の痛みを勇気をもって見据える者にだけ与えられる、あの奇蹟的な力。言葉の魔力と陶酔―。混迷する時代のイタリアで、新しい言葉の道をきりひらいた、五人の詩人たちの肖像。作家=須賀敦子の誕生を確かに告げる、貴重な初期作品集。
目次
ウンベルト・サバ
ジュゼッペ・ウンガレッティ
エウジェニオ・モンターレ
ディーノ・カンパーナ
サルヴァトーレ・クワジーモド
著者等紹介
須賀敦子[スガアツコ]
1929年兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。作家、イタリア文学者。1950~60年代にかけてイタリア在住。日本文学の紹介などに活躍する。1971年の帰国後は、イタリアでの経験をもとにエッセイ集や翻訳書を刊行。1998年3月20日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こなな
56
時には、黙読ではなく音読で読んだ。そうすることによって魂をより感じられるような気がしたからだ。静謐で厳かで惹き込まれる。須賀先生が満腔の信頼を置いていた詩人たち。エウジェニオ・モンターレ「レモン」。「夕暮れ」のジュゼッペ・ウンガレッティ。ディーノ・カンパーナ、未完成なままに終わった詩人のポエティックと未完成といわれているけど須賀先生は、一つの非常に魅力的で完結した宇宙を持っていて、彼は狂気に守られて純粋詩の世界だけを追求できたとある。素朴なウンベルト・サバ。サルヴァトーレ・クワジーモドは芸術を感じる。 2023/10/14
紫羊
20
日本オリベッティの広報誌「スパツィオ」に1977年から1979年にかけて掲載された作品を単行本化した本。とりあげられている詩人は、サバ、ウンガレッティ、モンターレ、カンパーナ、クワジーモド。訳詩の素晴らしさもさることながら、その解説文の上質さに惹き込まれる。解説は堀江敏幸。鈴木敏恵と中井久夫による書き下しエッセイの栞付き。2015/03/12
さっちゃん
9
静かな環境で、何からもじゃまされずに読み通したかったので時間がかかった。けれど詩を読み、理解するには訓練が必要だと感じた。各詩人に対する須賀敦子の解説文はすらすらと頭に入るのだが、詩になると途端にペースが落ち、ただイメージの連なりのままに頭を素通りしてしまったり、全く心に響くことなくもやもやしたベールに覆われてしまい、ため息とともに何度もページを閉じた。これを機にいろんな詩集も読んでいこうと決心する。2015/05/21
たかさん
3
イタリアの詩人、サバ、ウンガレッティ、モンターレ、カンパーナ、クワジーモドの5人の詩と解説、解題、感想、略歴が紹介されている。カルドゥッチ、パスコリがないのが少し残念だったが。 邦訳のことばの選択、気品のある比喩、言葉を思う存分穫れた。2018/10/17
つーさま
1
言葉の魔力と陶酔2013/11/05
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