内容説明
自分が地上で最も偉いなんて威張るのは人間だけ。驚くべきは、昆虫たちや、ネコや犬、そして大型動物まで、あらゆる生き物が体現する生き延びるための想像を絶する才能と知恵。その無限の可能性に魅せられた少年は何を考えて成長したのか。渋谷でチョウを追った少年の物語。
目次
1(バーチャルと「実感」;チョウのいる状況;科学の「常識」)
2(教育とはそもそも何なのか;『動物のことば』の頃;動物に心はあるか;「数式にならない」学問の面白さ;これでいいのか子どもの教科書;臨床とナチュラル・ヒストリー;新世紀の思考―緩やかなきずな;能ははぜ退屈か;地球環境学とは何か)
3(フランス家族の中の九ヵ月;北極観光船;心に残った外国語;日本文化とアメリカ式;湖国随想;よむサラダ;死も遺伝的プログラムの一環;人工気胸療法のころ)
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930‐2009年。東京生まれ。東京大学理学部卒業。専攻は動物学。京都大学理学部部長。滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長等を歴任。ティンバーゲン、ローレンツ、ドーキンスらの日本への紹介者としても知られている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
9
日高先生のエッセイ。なるほどね!から、おじいちゃんたらもう!まで自由な文章。フランス留学中の朝食、ミルクとコーヒー半々のカフェオレにバターたっぷりのバゲットを浸して食べる。カフェオレにバターの油が浮かぶ。そのカフェオレを最後に飲み干すのも美味しいらしい。食べてみたい!!セボン!2019/11/08
おりがみ
9
動物行動学者としてよりも教育者や大人、日本人としての体験や所感のエッセイが中心になっています。冒頭の「打ち込んではいけない」の若い人にむけた言葉には心が温まりました。もてはやされる「科学」に一石を投じたり、教育者として学問の「しりたい」思いを大切にすることを説いたり…海外の体験記まであり、日高敏隆という人の豊かな人生を感じることができた一冊でした。2019/01/16
ぴょこたん
4
日高先生の新聞や雑誌に寄稿したものの遺稿集。 もうこういう形でしか日高先生の文を読むことしかできないと思うと寂しい限りだ…。 生物系は他で読んだものと似たものが結構あった。 なので、新鮮だったのは、民俗学にからめたのや日高先生の人間関係や、若かりし頃の話。 祟りの話は面白かった。2013/08/28
さたん・さたーん・さーたん
1
「総合地球環境学」とは様々な分野、自然科学から人文科学の観点から地球環境について研究する。その名を冠した研究所の初代所長を務めた著者だけあり、雑談のようにとりとめないテーマの小話から構成された一冊でありながら広く柔らかく世間を見つめているのがよくわかる。エピローグとして置かれたエピソードが一番心に残っている。2016/01/01
T
0
P147 動物にとって存在するのは「自分の周りにあるものの中で関心を持ち、意味を与えているもの」だけであり、それ以外のものは、その動物にとって存在しないに等しい P245 子どもは、人からなにかをいわれて育つものではない。子どもたちはそれぞれ勝手に、自分になっていくーぼく自身がそうであったように。2021/11/21