内容説明
天使の救済、悪魔の誘惑、死者の魂の裁き…キリスト教はなぜかくも多くの天使や悪魔を生みだしたのか。それは一神教の矛盾の産物なのか。あるいは神に届かぬ祈りと情念の奔出なのか。ユダヤ・キリスト教研究の第一人者が二〇〇点にのぼる名画と教会美術を細部まで読み解き、信仰宇宙の光と闇を透視する。
目次
第1講 天使の起源―御使いと位階
第2講 悪魔の来歴とイメージ
第3講 悪魔の誘惑と聖人―アントニオスの場合ほか
第4講 死の表象と死神の勝利
第5講 リンボのキリストと悪魔、煉獄・地獄と魔王
第6講 天使の国と新しいエルサレム
著者等紹介
秦剛平[ハタゴウヘイ]
1942年生まれ。多摩美術大学教授。同大学新図書館館長。ヘレニズム・ユダヤ教(ヨセフス、フィロン、七十人訳ギリシア語聖書など)や、エウセビオスらの教会の物書きたちの文書資料を中心に初期キリスト教などの研究に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
71
カルチャー教室での講義をまとめた一冊になります。「天使と悪魔」を題材とした絵画からキリスト教を読み解いていました。旧約・新約共に、その解釈から絵画へと創作できる解釈があると言えるでしょう。数ある名画は聖書からの幻想の世界として生み出されたのかもしれません。「神聖」さよりも「悪徳」を描いた絵画の方が力を感じさせました。絵画の解釈も分かりやすく興味深かったです。聖書の世界を描いているので、宗教の強さを感じさせるかと思いましたが、むしろ生き生きと語られていて面白かったです。2015/08/06
SKH
7
「天使と悪魔」を題材とした美術作品からキリスト教を読み解く。旧約、新約どちらも、適当な解釈ができる記述が多々あり。2015/01/28
遊未
3
カルチャースクールでの講義がその語り口で本になっているので、読みやすいです。「そう言ってしまえば身も蓋もない」「でもその通りですね。」というご指摘が続きます。本当に興味深い内容ですが、残念ながら、挿絵ではかなり見にくい。別の著書で紹介されている「webギャラリーオブアート」は英語なので、私には厳しいです。2015/07/06
small_akuto
1
偏屈頑固オヤジがキリスト教を腐しながら、キリスト教美術について絵解きをする本。ぼくの言ってた大学にもこういう先生いたなあ。当たり障りのないことばかり言うよりも、美術がメインテーマであってもキリスト教の負の歴史や、教義の偏狭さに言及してくれる方がフラットに見れる。 皮肉っぽい語りも面白く、勉強になった!! この人の本はもう少し読んでみたいかも2022/09/21
peace land
1
残念ながら開設の絵が暗くて細部が見られませんでした。 カルチャースクールの方はプロジェクターで見られたのでしょうか。 それだとよく分かりますね。中世のヨーロッパに以下にキリスト教が力を持っていたかがわかります。私はこの語り口が好きではありません。それをそのまま本にしたところも共感できませんでした。天使のレポートの参考にしたかったのですが・・・。2016/06/11