内容説明
国家観・経済体制から資源・環境問題まで、大震災・原発事故のあと一挙に露呈した日本固有のシステムの欠陥と矛盾の数々―。復興・再生に求められる真の思想とは何か。その核心に大胆かつ原理的に迫る、待望の現代文明論。
目次
1 原発(原発の破局に直面して;ヒロシマからフクシマへ)
2 歴史(政党制度はまだ生きているのか;我々はどこに回帰するのか;皇太子が言ったこと;皇室・自衛隊・憲法)
3 世界経済(TPP考;「自由貿易」とアメリカン・システムの終焉;日本の内なる問題としてのTPP)
4 国家(近代租税国家の欺瞞;ベーシック・インカムをめぐる本当に困難なこと;経済のデモクラシーへ)
5 小品(写真の力;ルソー『人間不平等起源論』を読む)
著者等紹介
関曠野[セキヒロノ]
1944年東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、共同通信社に入社し名古屋支社、国際局海外部などをへて1980年からフリーランスの文筆業。思想史、経済などの分野で論文、エッセーを発表して現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ますたけ
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近代租税国家の欺瞞と写真の力が印象的。富者は富者の権利を罪悪視する国家を見捨て、貧者は富者に助成する国家を見捨てる。その結果、国家への忠誠心は消失する。福祉国家はじり貧。なるほど。2017/09/01
Mealla0v0
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近代租税国家という考え方に深く納得する。租税とは徴税ではない。というのも、近代以前の国家による徴税は搾取の一形態であったが、近代国家における租税とはコモンウェルスのためにひとびとがむしろ差し出すものであるからだ。▼論点はベーシックインカムなど複数多岐に渡り、当然個々の問題をすべて一括りに賛同することはできないが、本書は租税ということを考えるうえで必読書と言える。