内容説明
保守主義とラディカリズム、「あえて」とアイロニー、2ちゃんねるとSNS、弁証法と動物化、イデオロギーや世代の差異を越え、思想的課題を語りつくす。宮台真司、北田暁大、大澤真幸、鈴木謙介と東浩紀が、メタな理論とベタな現実の往復運動=批評を実践する、画期的鼎談集。
目次
第1章 脱政治化から再政治化へ(政治的転回をめぐって;強度ある世界のために)
第2章 リベラリズムと動物化のあいだで(八〇年代から遠く離れて;インターネットと応答責任)
第3章 再び「自由を考える」(現象学的身体と環境管理;動物は自由か)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
6
社会学系評論のこれからを考えるためにかなり有益。この本には工学的リバタリアニズム、社会の動物化をきちんと踏まえた上で、いかに人文・思想的な考察を広げていくのか、という問題意識がある。宮台回はほぼ宮台真司へのインタビューといった感じだが、本書全体に今の宮台への脱力感があり、その文脈を踏まえると興味深い。スタンダードに今の社会学、思想を考える北田回、大澤回は純粋に議論が面白く、自由概念の再定義のヒントになるものがある。ただし、さすがにちょっと人文オタク向けな感はあるかも2012/02/04
まっち
2
私が「現代思想オタク」ではないせいか(?)、何が面白いのか全く分からない。言葉が堂々巡りして横滑りして、こんなもの何が面白いのかというのが、今の偽らざる感情。『網状言論F改』はまだ多少面白かったけど・・・・。/【追記】宮台はなんとなく好きではないのだが(笑)、しかし妙に共感してしまうところもあり益々イヤになる(笑)。2016/05/11
ゆうき
2
学術ではなくストリート系社会学といったところでしょうか。学術の外部に広がる社会学を射程にした対談集。2013/06/12
fishdeleuze
2
東浩紀,鈴木謙介がホストで,宮台真司,北田暁大,大澤真幸をゲストに迎えた鼎談集。2005年発行だが,あまり古さを感じさせない。個人的に最も興味深かったのは宮台真司の章。この章はほとんど宮台インタビューの観を呈していて,特に宮台氏の「転向」について実存的な言葉を読むことができる。それと同時に,東,鈴木謙介らと宮台との温度差が著明となっている。単に世代的,思想的なものだけではなくて,時代に対するそれぞれの思い,そしていかに行動していくかについての差異なのだと思う。2012/06/28
yamayuuri
2
熟読。宮台真司の言論活動がいかに大きな影響力を及ぼしているか分かった。全3章、全ての話題に宮台さんの名前が出てくる。東さんは人間が馬鹿になろうが、社会との繋がりを弱めようが、それでも生きていける、回るシステムをイメージしているようだ。一応、理解はしたつもりだが、その世界で生き抜ける自信が無い2010/11/30