内容説明
生命の世界を、生物ばかりでなく組織や細胞までもがメッセージを交換しあう「記号圏」としてとらえる「生命記号論」。悩やDNAによる決定論的生命観を乗り越え、「自然」と「文化」の対立を相対化し、「意識」の誕生の謎に迫る。
目次
1 宇宙の誕生・意味の発生―「なにもない」虚空から、そこに浮かぶものへ
2 失われるもの、生き残るもの―生物の歴史と記号―忘却の弁証法
3 宿命と自由の相克―習慣化する自然と傾向
4 自我の発明―生物と自己言及、主体性の問題
5 生命記号圏の幕開き―感受する生物の世界
6 自己の定義―動きまわる脳―細胞の言語
7 データと真実、科学技術と自然の連結―二元論から三項関係へ
8 世界の共有―言語、実存する生物人類学
9 意識の統一―意識 脳の中の肉体の統治者
10 自然と人間の和解―倫理 肉体と心を調和させる物語
著者等紹介
ホフマイヤー,ジェスパー[ホフマイヤー,ジェスパー][Hoffmeyer,Jesper]
1942年生まれ。コペンハーゲン大学分子生物学研究所生命記号論グループ教授。生物学的視点から社会哲学全般を論じる
松野孝一郎[マツノコウイチロウ]
専攻、生物物理学。長岡技術科学大学名誉教授
高原美規[タカハラヨシノリ]
専攻、農業生物学。長岡技術科学大学生物系助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
生命においては、デジタルなDNA情報の記述(遺伝型)を表現する場合(表現型)アナログ処理がなされる。著者はこの間の関係を考察し、パースの3項関係を用いて「記号論的相互作用」の説明を試みる。遺伝型/表現型に3つめの解釈項が仮設することで、著者は、流動的な環境を遺伝子レベルに持ち込み、エラーや不一致を含めた進化のモチーフを導入する。このナノレベルの3項関係仮説は環境の不安定性に開いており、ユクスキュルの環世界やベイトソンの生態学へと繋がる一方、遺伝子中心の生物学の背景にある一点からの支配の欲望に警鐘を鳴らす。2017/08/29
ice9
0
途中で、並行して複雑系の本を読み始めてしまったため、混乱。後ほど再チャレンジ。2012/11/10