「テロル」と戦争―“現実界”の砂漠へようこそ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791760237
  • NDC分類 934
  • Cコード C0010

内容説明

9・11以後、未曽有のイデオロギー的・抑圧的な国家装置総動員の下、高声に叫ばれる「テロリズムとの戦争」。アメリカ帝国主義のヘゲモニーに、全世界は加担を強いられるがままなのか。右翼ポピュリズムの欺瞞・リベラル民主主義の迷妄を共に撃ち、急迫する真なる“敵”とは誰かを見極める。

目次

序論 消えるインク
1 “現実界”の情熱、見せ掛けの情熱
2 横取りの繰り返し、ムラー・オマールの教訓
3 九月一一日後の幸せ
4 “下司野郎”から“聖なる人間”へ
5 “聖なる人間”から隣人へ
 結論 愛の匂い

著者等紹介

ジジェク,スラヴォイ[ジジェク,スラヴォイ][Zizek,Slavoj]
スロヴェニアのリュブリアナ大学教授。ラカン派マルクス主義者として、その多彩な活動は世界の思想界で注目を浴びている

長原豊[ナガハラユタカ]
1952年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在は法政大学教授。経済史・社会思想専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

肉欲棒太郎

4
9.11を題材にしたエッセイ。中盤のアガンベン「ホモ・サケル」概念への批判が読みどころか。イスラム原理主義や右翼ポピュリズムに対しては、リベラルな民主主義ではなく、「反資本主義」が唯一の回答というガチ左翼っぷりに胸熱。2017/02/06

Ecriture

2
ふむ。これはジジェクの中でもかなりいい方の著作だと思うね。ホロコーストと9.11は何が違うのか。ポストモダンリベラルの態度のどこがまずいのか。テロルの時代にあってアメリカニズムは、愛国心は可能かというテーマにちゃんと答えてるからね。これを元ネタに大澤真幸が1冊書いたんだけど、ジジェクさん格の違いを見せつけたと思いますよ。これを書けただけでジジェクはすごいよ、マジで。2009/03/07

ルヴナン

0
テロルが国家を確認してしまう手段だとしても、その行為無しに国家が存在できない訳ではない。哲学の責務とは蒙昧な言辞を弄することではなく、世界の有り様を確認することである筈だ。暴力が吹き荒れるその瞬間、知は無力だ。現実に対して知を以って抗うのならば、より周到で狡猾でなければ。2016/06/21

む け

0
テロルとの戦争、アメリカもしくはイスラエルの絶対正義というのは9.11以降盛んに唱えられるようになったが、現在では少し落ち着いてきただろうか。ジジェクが語ろうとしているのはこの絶対という図式の欺瞞と、そこに現れる「他者」の排除性なのである。パラノイア的アメリカは敵を作り出すことによって自らを先延ばしする(かといってイスラム諸国が絶対正しいわけではない)が、その原因は実は内部からきているだ・・・という論旨が映画を絡めて語られる。まあ内容はいいが、この訳者はアカン。バディウ「倫理」の訳もひどかったなあ。2012/12/27

hikarunoir

0
せっかく人文科学系の知を総動員し9.11を語ろうとしてるのに、訳の映画についての知識不足が悔やまれる。注釈の入れ方、「マジ」とか言葉遣いも不適切。2012/06/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/427643
  • ご注意事項