内容説明
説話や縁起の中の〈翁〉は、神や仏の存在を人間界に媒介する役割をもつ者として立ち現われる。海の翁、山の翁、夢の翁、翁の零落形などを考察することにより、日本の神と仏の関係とその意味をさぐる。
目次
翁と童子―その身体論的時空
古代における神と仏(神・仏の調和と「排仏」;辻善之助の「定説」;津田左右吉の「批判」;神仏の相互補完性と「崇り」の契機;神・仏の「習合」と国家祭祀;祖先崇拝と神・仏の交渉;シャマニズムと神・仏の交渉;古代氏族と神・仏の観念;儀礼・祭祀における神・仏の文化接触;「カミ」の憑霊機能と「ホトケ」の受肉機能;「カミ」の出現;「カミ」の受肉―神像の発生;不可視の遊幸神と可視の化仏;「受肉」と「習合」)
神から翁へ(『記紀』と『風土記』における「翁」像;神人としての化翁;神像表現における翁;八幡神縁起における翁;稲荷神縁起における翁;翁の巫者的性格;海の翁;山の翁;夢と翁;翁の零落型)
メシアとしての翁―折口信夫論の試み