出版社内容情報
人間が反省的意識をもつ生きものであるかぎり、誰であろうと生きていることの意味への問いから逃れることはできない。しかも私たちをとりまく状況は刻々と変化しつつあり、それに応じて古い問いも新しく生まれ変わってゆかざるをえないだろう。本特集では21世紀的な「人生の意味の哲学」の諸相を展望し、その現代的意義について考察する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
54
人生の意味などない、という論調もあるだろう。。森岡正博先生は、人生に意味を与えるものは社会貢献や目的達成が人生に意味を与えるか。そして、人生の意味はそれ自体に意味があり、人類が宇宙に存在する意味を問うという(18頁上段)。私は前者も後者も重要と思うが、後の鈴木生郎先生の、人生の物語的価値(45頁上段から)で、本当に価値があるのか不安であり、実際に価値があることを知りたい(傍点)が気になった。俺なんて生れない方がよかった。そう思う、母の嫁ぎ先だっただけに、嫁ぎ先がだめだと、その後の世代に悪影響を及ぼす。2024/04/08
huchang
4
神は死んだとか言った人はニーチェだった気がするが、神なき後の哲学はまだまだ続いてる。個別の人生の意味については置いといて、人類は神様なんかいないのに存在しちゃってることをどう考えるんや?てな話だと認識した。何のため?と生きる目的を問われると人間は弱い。この世に何か残すのが生きる目的とかいうと、私など、跡形なく死んじゃえっていうダメ人間だ。でもそういうことじゃねえんだよな、残せない・残しちゃいけないからダメ人間じゃないんだけど、ダメじゃない理由を、我々は神なきあとに語る言葉を得ていない。2024/03/31
mirie0908
1
子どもの頃から「人生には意味はない」となんとなく思っていたので本書の各論もそんなに違和感なく読めるのだけど、最近思うのは、「『人生に意味がない』ことは分かっているのに、それでもいつまでも『人生の意味のなさ』について考えてしまうことに、どんな意味があるのか」ということ。2024/03/24
タロウ
0
酷い論文ばかりで開いた口がふさがらない。人生を考えたことのない学校秀才たちが頭の中だけでくだらん話をしているだけ。ただ、小松原織香の死者倫理の視点から「人生の意味」を考えると、西村ユミの「生きる意味」が問われなくなるときは読む価値はあった。小松原の論は第一次大戦の塹壕戦で死んだ無名兵士を弔う話。ただ死んだ後に弔ってもらうのが人生の目的ではない。西村の論は植物人間と心の交流を持とうとする看護師の話で興味持てた。覗きこんでいる患者の目に私が映っている。患者の闇を一緒に覗きこまなきゃいけない。ここは素晴らしい。2024/04/30