出版社内容情報
書店の哲学の棚には、哲学者の思想の解説書が並び、大学のカリキュラムにはおおむね哲学史が含まれている。しかし哲学とは先人の思想を理解して難しい概念をあやつれるようになることなのだろうか。このような問いに対して「哲学する」とは「知を愛する」(ソクラテス)こと、「自分で考える」(カント)ことだと言われてきた。ではそれは具体的にはどのようなことなのか。「哲学をつくる」というのは「哲学する」というあまり一般に浸透しているとは思われない専門用語を分かりやすく言いかえたものである。だが「哲学の本義に戻る」ように訴えるのは、そうした営みが絶えて久しいと嘆くためではない。むしろ「哲学をつくる」という現存している営みに光を当て、共有し、促進したいと考えたからである。「哲学をつくる」という営みが、現代の日本でどのような形になるのか、またそれをどのような方向へ育ててゆくべきなのか―このことについて今特集では考えたい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hf
3
山口尚と千葉雅也の対談だけ読んだ。「分析哲学においても論理実証主義があってクワインが出てきてそしてローティなどが出てくるといった側面に目を向ければ大きな歴史のようなものを描くことができます」(山口10)、「哲学のつくり方という観点で言うと、作るという発想は”他でもありうる”ということを伴っていると思います」(千葉12)→これはすごい、「デイヴィド・ルイスは現代の分析哲学の中で最も体系的なタイプ略この人についていくと多方面の問題に対して一貫した論文群を生み出すことができます」(山口13)2022/08/10
kei
2
最近の読書は主に仕事用必要か、仕事からの逃避か、だったが、久しぶりに手に取った現代思想のこの号の論考は、自ら問いを立てること、その問に答えることの価値(役にたつ、というだけでなく、根源的な楽しさを感じる、というようなことも含む)を確認させてくれるものだった。良い読書だった。2023/01/12
G.D
1
大抵は「哲学なんてよくわからないけど自分の理解だけ伝えとくね。あなたには当てはまらないかもしれないけどね。」といった予防線だらけの文章だった。 例えば哲学に興味を抱いた若者がこれを読んだとして、果たしてどれほど勇気づけられるのだろうか。2022/10/09
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