出版社内容情報
自炊とは自らのために炊事を行うことである。そうした自分自身を生かし続けるために毎日繰り返される単調な作業が憂鬱であるからこそ、料理本、動画、SNSでの個人のつぶやき、表象文化を通じてさまざまに拡散され、または「自分のため」であることに立ち戻ることで独自の深化を遂げている。本特集では、加速していく食の循環と細分化していく個々の生活を見据えつつ、自炊の現在のすがたを明らかにしていく。
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- 評価
四井志郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
17
一見ユリイカらしからぬ特集だと思ったが、自分が毎日意識せずにやってる事なので、つい購入。自炊の定義にも色々あるなと、肝心なのは他人の為では無く、自分が食べるためにのみ調理をすると言う事なのかな?料理が下手又は得意でない母親の元に産まれなかった事だけでもかなりの恩恵を受けていたのだなあと今更ながら思った。自分は本は好きでも料理本は買う事はなく、クックパッドみたいなアプリを活用してるが、玉村豊男『料理の四面体』は是非読まねば!と思った。週に2~3回の買い出しは近いスーパー3店をローテーションで使ってます。2025/03/12
niki
5
有意義な読書だった。良い時間だった。ユリイカは初めて。軽い気持ちで読み始めたけれど、「ドカ食い=自己破壊を欲求する論理」とあったり、ネパール料理店を経営するインド人妻の苦悩が書かれていたり、考えさせられる事が沢山あった。爽やかで素敵な文も沢山ある。「自分を喜ばせるもう一人の自分が必要ということを悟ったら、結構いろんなことがスムーズに行くようになったのよ」 「私の作るものはいつだって私に必要な味がして誇らしい」。この本を読み出してから、私は何が食べたいのかきちんと考えるようになった。大きな一歩をありがとう。2025/09/14
justdon'taskmewhatitwas
3
自炊=「孤食」、故の自由を考えていた。論考は、同居人と食べる家庭料理は自炊なの?から、飼い猫の餌を自炊、巨大食糧商社の威嚇、虚無レシピ、ヤングケアラーや摂食障害者の炊事…。平野紗季子は、”…外食して帰ってきて、夫が食べたUberの空容器が目に入ると胸が痛む” と書く(でも仲良いのよ)。皆「食」に関し、何かしら疲弊し苦悩し負担を感じ罪悪感に苛まれている。楽観視すれば、やがて「自炊」は解放され「共食」は再構築される、だろう。──自炊した料理やレシピをSNS(IG@renadfromgaza)にあげるのも共食。2025/08/04
三田郎
3
ワアワア言うとるがユリイカ読むやつなんかねこまんまくらいしか作れんやろと思って買ったが... 自炊の範囲とは?自炊の意味とは?どの論考もそこまでお高い感じもなく共感性が高い。比較的楽しんで読めた。 自炊は買い出しがダルいとか、食材をしまうのがもっとダルいとか、労働になってしまいがちな自炊とか諸々2025/03/27
バーニング
2
青田麻未、福永真弓、くどうれいん、呉樹直己のエッセイを面白く読んだ。2025/05/15