内容説明
サラヨさんは夫に、自分の思いが伝わらない、夫と会話がかみ合わない、自分の気持ちを察してもらえない、支え合えていないと感じ、日々つらい思いをしていました。夫と情緒的な相互関係を築けず心身ともに不調をきたしたサラヨさんは、あるとき、夫がアスペルガー症候群の特性をもつことに気づき…。本書はひとりのカサンドラ女性が苦悩の日々と回復への道のりを綴った体験記である。
目次
1 パートナーとの出会い
2 アスペルガー症候群の男性との育児
3 カサンドラ症候群の実状
4 アスペルガー症候群の二次障害
5 お互いが新たな人生へ
6 サラヨ流「心の傷」からの回復
寄稿 アスペルガー症候群&カサンドラ症候群について―田中康雄
著者等紹介
西城サラヨ[サイジョウサラヨ]
保健所保健師、精神科病棟看護師などの勤務歴あり。アスペルガー症候群(受け身型)の傾向があるヒデマロさんと結婚。第一子誕生を機にうつ病を発症。カサンドラ症候群という言葉に出会い、自助グループの存在を知る。二児の母
田中康雄[タナカヤスオ]
こころとそだちのクリニックむすびめ院長。児童精神科医。臨床心理士。北海道大学名誉教授。発達障害をもつ人の心と生活に寄り添う親身な治療と支援で多くの人の支持を得ている。発達障害に関する著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ybhkr
6
その後、元夫は再婚したらしいけど、アスペルガーの受診などしたのだろうか。元夫、父親という役割がなければ無害なのかもしれないが。消極的DVとも思えてしまう。以前の日本の男性は障害なくてもこんなんだったのか…と絶望する。いくらアスペルガーでも嘔吐して寝ている事に異常を感じないのは問題。子供の生存にすら関わる事態。著者には離婚しかなかったんじゃなかろうか。協力できないなら邪魔しなければまだイケルのに、邪魔までするようになっては。支援が必要な人に支援がないのも事実だが、共倒れも苦しい。自覚のない障害は怖い。2016/11/21
滝原夏希
4
「カサンドラ妻」とは何ぞや?この本によると、アスペルガー症候群の配偶者が陥りやすい状態を指す概念で、ギリシア神話の悲劇の王女にちなんだもの、医学用語とは違うらしい。 夫の不可解な言動によって心身消耗し、うつになったり、身体の様々な不調があらわれるという。 精神科医によると、虐待を受けたこどもも同じような症状に陥る点で似ているらしい。 ただ、両者が違うのは、配偶者は自らの意志で選んでいるのに対して、親は選べないということ。子どもは逃げ道がないから余計につらい。 性格の不一致で離婚てこの例が多いのかも。2016/02/26
ぼえ
3
アスペルガー男性と結婚する女性に多い特徴が、共感性に富み、母性的・献身的とのこと。(個人的には自分に厳しく律する力が強い、家庭環境、特に父親の問題もあると思う)。完全にサラヨさん側なので、旦那が有り得ない!という感情しかない。他人には鈍感なのに、自分の気持ちには敏感。自分を反省したことは無いのだろうか?重度のうつを経て離婚に至ったが、二人の子どもがどのように成長したかが気になる。旦那側の気持ちも知りたいので、著者の別の本(マンガで分かるアスペルガー)を読もうと思う2017/08/29
newpapa
2
カサンドラ症候群はよく知らなかったので、非常に勉強になった。 カサンドラ症候群になりがちな人のタイプがあるのは知らなかった。発達障害を身内に持ち、それを支える人には一定この症例が出る可能性があるかもしれないと思った。 著者のように旦那ではなく、我が子に対してもカサンドラが起きる可能性があると思った。その場合は、自殺を考えなくても、旦那の理解が得られなく、一人で抱え込み離婚になるケースが多くなる気が売る。2017/09/02
弥太郎岩崎。
2
かなり厳しいけど、現実は、入院も要らない軽度な状況でももっと酷いケースもあるのかも。今後、子ども世代が成人してからの語りが読みたい。サラヨさんは妹が介入したし、医療系専門職で、当てはめられたとはいえども女性の役割やライフステージの変化を踏める考え方、感じ方だったから逃げられたことがよく分かる。流行りのマンガエッセイのスタイルで、参考文献も学術的な度合いは高く、現象を俯瞰して見たい、ジェンダー論的に考えたいなら合う本。2017/02/19
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