内容説明
患者の心と身体にじかに関与するオーソドックスな精神科治療をひたむきに実践し、工夫を重ねてきた著者。その眼差しは、患者・家族にとても温かく優しい。そして、非定型抗精神病薬が登場しようとも、分裂病が統合失調症を改称されようとも、分裂病治療の基本が変わることはないと主張する。
目次
第1章 臨界期現象再考
第2章 硬い慢性患者をほぐす
第3章 寛解・退院・外来治療をめぐって
第4章 寛解前期の慢性化を少なくする治療について―「残遺型分裂病」「陰性症状」と関連して
第5章 病的体験の聞き方をめぐって
第6章 分裂病者の退院後の外来治療―症例を中心にして
第7章 阪神大震災のヴォランティア活動―民間医師の私的体験として
著者等紹介
星野弘[ホシノヒロシ]
精神科医。1945年新潟県柿崎生まれ。1969年東京慈恵会医科大学卒業。1970年都下、青木病院病院勤務。1989年長野市鶴賀病院勤務。1992年青木病院に復職し、診療部長。2001年高田西城病院勤務。副院長。現在に至る
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感想・レビュー
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つなぐ
3
分裂病を耕すの続編という事で、内容は雑多です。中井久夫のいうところの寛解前期に作業療法は必要ないこと、退院して直ぐに仕事をしたいと患者が焦っても、精神科医は自律神経が生活に馴染むまで待つように止めなければいけない事が大事な気づきでした。もちろん、一人の医師の意見ですので、臨床では色々な意見はあるでしょうが、統合失調症は待つことの大切な病気であることを改めて学びました。2018/03/16
ポカホンタス
3
必要があって再読した。『分裂病を耕す』の続編。睡眠や生活のリズムへの言及が多く、当時の状況を考えると先見の明を感じさせる。2016/07/10