内容説明
エスノメソドロジーの考え方を、平易な言葉と身近な例示によって説き、その面白さを伝え、読者を社会学的探究へと誘う。初学者のために徹底してわかりやすく編まれた格好の入門書。
目次
第1部 身近な世界のエスノメソドロジー(言葉を使うこと;道具を使うこと―身体・環境・相互行為;子ども/大人であること;女/男であること)
第2部 制度的世界のエスノメソドロジー(メディアに接する;学校で過ごす;病院に行く―医療場面のコミュニケーション分析;施設で暮らす;法律の接する)
第3部 エスノメソドロジーの視座と方法(ガーフィンケルとエスノメソドロジーの発見;サックスと会話分析の展開;社会問題とエスノメソドロジー研究;社会調査とエスノメソドロジー)
著者等紹介
串田秀也[クシダシュウヤ]
現在、大阪教育大学教育学部教授。専攻、会話分析、コミュニケーション論
好井裕明[ヨシイヒロアキ]
現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。専攻、社会問題のエスノメソドロジー、映画の社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
3
発話の「reflexivity」は、状況に関する知識と相関させたうえでの発話の解釈可能性を保証する原理ということみたい。「隣接対」や「投影」は発話連鎖を状況へと開く余白を作る契機で、他方で「道具の規範的構造」「相互行為空間」「参加フレーム」は、状況を記述する観点を指す。こういう道具立てで、「カテゴリー(=子供/大人、男/女)」に関する批判的な分析や、「メディア、学校、病院、施設、法」といった場の分析を可能にするのが「エスノメソドロジー」である。全体としては緩いなあ、破壊力伝わってこないなあという感じ。2022/04/14
Smiltg
0
全く知らない分野だったので難しかったが面白く読めた。2017/09/18
ひつまぶし
0
ガーフィンケルの違背実験が気になって、少し勉強し直してみようと思って読んでみた。実践的推論、現世的推論、「コードを語る」など、自明性を読み解く視点がしっかり概説されていて面白かった。自明性を読み解く際にポイントとなるのは、観察者の位置付けであるように思う。当事者に「語りえない」ことをどのようにして観察者が語れるのか。たとえば違背実験における観察者はかなり特殊な関与の立ち位置にある。理解がどこで成り立っているのかをもう少し問うていく必要があるように思われるが、エスノメソドロジーでなお踏み込みは甘いと感じた。2022/05/01