内容説明
人類学者にはならないあなたのための人類学入門。ゲームの数だけ世界がある。ゲームの数だけ真理がある。高校生にもわかる、それでいて高度な、あなたの脳を鍛え、あなたの世界を塗りかえる、理屈人類学への招待状。
目次
第1講義 エリバ博士の苦悩―あるいは人類学と文化
第2講義 雨乞い師と医師の対話―あるいは呪術と科学
第3講義 信じやすいニワトリの悲劇―あるいは帰納と法則
第4講義 イワナとアヒル―あるいは科学と分類
第5講義 ヒクイドリはなぜ鳥でないのか?―あるいは文化と分類
第6講義 地球の動かし方―あるいは理論と法則
第7講義 あたらない天気予報―あるいは科学と真理
第8講義 誰が酸素を発見したのか?―あるいは科学と世界
著者等紹介
中川敏[ナカガワサトシ]
1953年広島県生まれ。1984年東京大学大学院社会学研究科文化人類学専門課程第1種博士課程修了。1990年オーストラリア国立大学Ph.D.取得。1984年京都大学助手。1996年大阪国際大学教授を経て、大阪大学大学院人間科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たか
11
著者によると科学的視線で見た人類学の本とのこと。ついとも様が取り上げていたから読んでみたけどなかなかムズイ。語彙はそれほどでもありませんが文体は抽象的な表現が多くて馴染むのに時間がかかりそうです。2015/03/07
★★★★★
3
理系の学部生向けにおこなわれた授業をもとにした、科学をめぐる人類学の初学者向け講義。科学は決して絶対的なものではなく、あくまでも西欧近代の文脈の中で構築された文化の一つであるということが易しく説明されてゆきます。科学とは宗教の一変種に他ならないという、個人的にずっと考え続けていたテーマが明快に示されており、たいへん共感いたしました。2010/08/05
こたろう
2
「ゲームが意味をつくる」ということをいろんな例を挙げて説明した本。ゲームとは、野球やサッカーのようなスポーツもあれば、国ごとの文化のようなものまでをゲームと定義している。おそらく、各分野での常識などもこれらのゲームに含まれるだろう。1つのもの(たとえば、りんご)が唯一無二の意味を持つというわけではなく、それぞれのゲームの中に限って意味を持つということ。一度そのゲームから外に出てしまえば、途端にその意味は無意味なものになってしまう。2019/10/03
宙庭隼人
2
「科学」とあるので、ちょっと構えたものの(笑)、とても読みやすいし面白い内容でした。祈祷師と科学者の話が特に好き。「世界が論理を創るのではない、論理が世界を創るのだ」。中川さんの他の著書もよみたい。2015/06/05
とらい
0
人類學の視點から科學の「考へ方」を説明してゐる。科學に限らず、法則や意味は世界の中にはなく體系の中にあるといふもの。述べられてゐることは明快で分かりやすいが、體系(特に科學)の發生する過程を「主知主義」「プレイヤビリティ」といふ言葉に集約してゐて説明を避けてゐる印象を受けた。2012/08/13