第三帝国のR.シュトラウス―音楽家の“喜劇的”闘争

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  • サイズ B6判/ページ数 272,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784790710462
  • NDC分類 762.34
  • Cコード C0073

内容説明

ワーグナー亡きあとドイツ・オペラの黄金期をもたらしたR.シュトラウス。ナチス政権の帝国音楽局総裁という立場にありながら、禁令を犯してまでオペラ『無口な女』の上演を敢行したのはなぜか。ナチスに対する大音楽家の「命がけの悪戯」の謎に迫る。

目次

序章 マエストロ対ディクタートル
第1章 リヒャルト三世の“喜劇的”闘争
第2章 自滅の美学と『ばらの騎士』
第3章 『インテルメッツォ』―小休止
第4章 新生の息吹
第5章 『無口な女』上演作戦
第6章 延長戦
終章 ミューズの判定

著者等紹介

山田由美子[ヤマダユミコ]
大阪市立大学大学院修士課程修了。博士(文学)。ロンドン大学在外研究。大阪市立大学文学部助教授を経て、現在、神戸女学院大学文学部教授
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感想・レビュー

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Hepatica nobilis

3
ロマン派の巨星R・シュトラウスと、同時代の文学者たちを描いている。理想の共作と言われたホーフマンスタールとの一連の創作は、方向性の違いから逆に苦難の連続で水準に達したものは少なく、むしろ彼の本領はその後のオペラブッファにこそあったと見なす。特に理想の台本として入れ込んだユダヤ人作家ツヴァイクの『無口な女』を上演するためにいかに腐心したかが描かれる。その彼が亡命知識人たちの怨恨から「ナチに協力的」「軽薄」と烙印を押された。もともと自分はシュラウス好きだが、そうでなくてもとても面白く読めるにちがいない。2012/03/25

Wataru Hoshii

2
R.シュトラウスの主に30〜40年代の作品について、ナチスとの関係を踏まえて新たな解釈を試みている論考。シュトラウスとナチスとの闘争自体は、シュヴァイクの「昨日の世界」にも出てくる話だが、オペラの内容や交響詩のプログラムにまで踏み込んで、そこにシュトラウスの政治的な主張を読み込んでいくという読解はなかなか面白い。「ドン・キホーテ」「無口な女」「カプリッチョ」「ダナエの愛」といった作品において、時代に向けた政治的なメッセージを発信していたという指摘は、シュトラウスの従来の非政治的なイメージを覆すものである。2017/03/15

コットン

0
シュトラウスとナチスとの関係…2015/12/03

ナナシ

0
【p180「私にとって人間は二種類、つまり才能のある者とない者しか存在しません」とツヴァイク宛の手紙の中で断言したとき、ナチスのユダヤ人政策の本質が「才能のある者」に対する「才能のない者」の嫉妬にほかならないことをシュトラウスは看破していた。】ツァラトゥストラのことを勉強しようと思っていたが、主にリヒャルトの後期作品について述べている本。リヒャルトの現実主義的な生き方、諧謔性、世の中の英雄的なものに対する批判精神が垣間見られた。2015/01/29

オットー

0
シュトラウスの喜劇オペラへの執着についてはよく理解できたが、本来は“調性”と書くのではないかというところが“調整”と表されていたり、最後の付録的な年表のブラームスの没年が10年も早まっていて…2012/03/21

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