出版社内容情報
「殴られるより殴った方が辛いだろう」
手習い子が手習い子を殴った。
教え子の喧嘩を叱らぬ栄三郎の真意とは――。
縺れた心を解き、縁を結ぶ。
人情時代小説、第十二弾
「先生は子供の喧嘩で済ませてしまうおつもりですか」
手習い子・巳之吉の父が、秋月栄三郎の道場に押しかけてきた。同塾の太吉に殴られた息子を思ってのことだ。喧嘩両成敗――理由を語らぬ太吉と、太吉を非難する巳之吉を前に、栄三は双方が納得のいく落としどころを探っていた。師が、親が、子供のためにできることとは。表の顔“手習い師匠”栄三が導く人の道。
【目次】