内容説明
ナラトロジー(物語論)の観点から、漱石、鴎外、鏡花、荷風、谷崎、川端、大岡、三島、筒井、中上、大江を読み、日本近現代小説にひそむ、語りの技と物語の構造の両面を分析、小説の新たな読解を提示する。
目次
1 主題の諸相(虚構性と物語性―筒井康隆『虚人たち』と『美芸公』;回想と現在―大岡昇平『野火』;物語の構造と語りのレトリックの絡み合い―鏡花『伯爵の釵』;テクストとパラテクスト―永井荷風『珊瑚集』;テクストとしての小説家―大江健三郎『懐かしい年への手紙』)
2 変奏の行方(写生文と小説のあいだ―漱石『草枕』『虞美人草』『坑夫』;書くことの悪魔払い―鴎外『追儺』;越境する物語―谷崎潤一郎『吉野葛』;切り取られた時間―川端康成『浅草紅団』;テクストの内/外なる「作家」―三島由紀夫『仮面の告白』と『禁色』;高貴にして澱んだ「物語」―中上健次『千年の愉楽』)
著者等紹介
北岡誠司[キタオカセイジ]
東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、奈良女子大学名誉教授。専門はナラトロジー、ロシア現代思想
三野博司[ミノヒロシ]
(仏)クレルモン=フェラン大学大学院博士課程修了。現在、奈良女子大学文学部教授。専門はフランス文学
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