内容説明
鮮烈な驚きをもたらす他者との出会いを、新しい間柄をつくるためにどう生かすのか。自己を譲り渡すことなく、他者をどこまで深く理解できるのか。体験的人類学エッセイ。
目次
第1章 文化が自然であることをやめるとき(国際機関というフィールド;多人種社会・アメリカ;人類学からの古典的実例;構築される血縁)
第2章 他者を通じて自己を知る(ヌアー人と日本人;人間関係の構築;近代・伝統・「未開」;近代の指導者)
第3章 他者に迫られる自己(自己の一貫性としてのアイデンティティ;他者の回避;出発点をつくる努力;出会いを科学する;自国内の異文化)
第4章 見ることは変わることだ(流動性への対応;見ると見える;主観性と客観性;自己の一貫性)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobu A
3
1994年初版。現職の卒業生で教授だった著者の単なる人類学入門書ではなく、趣向を凝らした入門の為の心構えの本。「新しい友人の個性を知ることは、どんな旅行よりスリルがある」の文に人類学者の真髄を知ったような気がした。「他者を通じて自己を知る」と書かれてあり、孫子の兵法にも「敵を知り、己を知れば百戦殆うからず」とあるが、日本語教育も含め、様々な分野で共通する考え。筆者の個人的体験談もあり、分かりやすい半面、抽象的なことも多く、やや難解。それが混沌とした人類学の性質なのかな。ICUの小咄もあり、面白かった。2017/03/28
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