出版社内容情報
自己啓発書はどのように生み出され、誰によってどのように読まれているのか。自己啓発書には結局のところ何が書かれてあるのか。各年代の生き方指南書、「手帳術」ガイド、掃除・片づけで人生が変わるとする書籍、さらには自己啓発書の作り手と読者へのインタビュー、質問紙調査の分析から「自己啓発の時代」を総合的に考究する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
65
低所得者にとってのパチンコが、中間層にとっての自己啓発本だという指摘に納得してしまう。どっちも淡い夢を見させて中毒者を生み出すことで、産業として成り立っているんだろう、、、コワイですね。男性向けの自己啓発本が「より優秀になって勝ち組になる」系が多いのに対して、女性向けのそれは「自分らしさを手に入れることで幸せになる」系が多いとのこと。、、、色々考えこんでしまった。出版不況のなかで確実に売り上げが見込める自己啓発本への批判は出版業界のタブーになっている。この本を出すことに学術書系出版社の矜持を感じて嬉しい。2021/11/07
zag2
29
自己啓発本が活況を呈していることを、ピエール・ブルデューがディスタンクシオンで示したハビトゥスなどの概念を援用して社会学的に考察した一冊・・・ですね。ディスタンクシオン自体は読んでませんが、100分de名著で取り上げられた際に、難しいながらもスゴい分析だと感銘を受けました。自己啓発本の分析の冒頭でハビトゥスが語られていて、なるほどと思うところがあったのですが、手帳術や片付けなどに話が展開していくと、いささか方向が違ったような感じがしました。自己啓発そのものの話ではないのでご注意を。2021/11/15
きいち
28
当事者(=自己啓発書の読者・作り手)の視点を保って分析していく感じが刺激的で楽しい。私たちが実際に仕事で使ってるような納得感のあるノウハウが<分析対象=自己啓発書からの引用文>として扱われていくので、自分も一緒に参与観察してる気になる。じっさい分析対象は「自己をコントロールする技術」、モノを扱うよな冷めた手つきじゃ何もわからないもんな。◇使われた調査データもいい。<宗教と違って全人格でハマらず場面場面でノウハウを使う><啓発書ユーザーは非ユーザーより社会への当事者意識が高く実際に動いている>。ヒント満載。2015/11/08
Toska
25
前著(https://bookmeter.com/books/4644844 )同様、緻密かつ冷静な分析が光る。例えば断捨離など片づけ系の自己啓発でも、ルーツの一つとして企業経営者の掃除励行(を通じた社員教育)があるなど、意外な系譜関係があぶり出される。タイトルの通り、そうした自己啓発の世界はすでに我々の日常にまで侵入しているのだ。結果、人々の思考は社会や時代に向けられることなく個人の中で循環し、家庭生活や育児でさえ自己の修養として位置づけられていく。これはとんでもないディストピアでは?2026/03/23
ま
25
うーん難しい。タイトルに釣られた。自己啓発書が凡庸な他者との差別化を図るツールだとするなら、その書が流行れば流行るほど陳腐化してしまうっていうなんかもうそもそもパラドックスを孕んでるなという感じ。「啓発書がまずもって私たちに示しているのは、自分自身の変革や肯定に自らを専心させようとする一方で、その自己が日々関係を切り結ぶはずの『社会』を忌まわしいものとして、あるいは関連のないものとして遠ざけてしまうような、そのような生との対峙の形式なのではないだろうか。」(p268)2021/12/13
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