出版社内容情報
エスニックな観光地「新大久保」の出現は、居住空間としての大久保地域をいかに変容させたのか。定住を要件とする従来の多文化共生論や地域社会像を批判し、住民だけでない多様な人々の共在から成るプロセスとしての、新たな地域社会概念を提起する。
著者プロフィール 宇都宮大学国際学部助教
内容説明
マルチエスニック・タウン、コリアンタウン、韓流・K‐POPの聖地―様々な異名を与えられてきたエスニックな観光地「新大久保」。その出現は、多国籍な居住空間としての大久保地域にいかなる影響をもたらしたのか。大久保地域‐「新大久保」という重層的なエスニック空間を事例に、人々が絶えず出会い、葛藤を生じ、調整を図ることで再編されるプロセスとしての「地域社会」概念を提起する。
目次
序章 「新大久保」の出現は何をもたらしたのか
第1章 移動の時代に「共在」を問う
第2章 大久保地域と「新大久保」の置かれた文脈
第3章 居住・生活上のエスニック空間の形成
第4章 観光地「新大久保」の誕生
第5章 重層的なエスニック空間の危機と変容
終章 編み直され続ける「地域社会」
著者等紹介
申惠媛[シンヒェウォン]
1990年ソウル生まれ、2001年来日。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。現在、宇都宮大学国際学部助教。専門は社会学(移民研究、都市社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Arihiro Minoo
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最近、博論本を読む余裕がなかったのだが、お送り頂いたこともあり熟読。大変勉強になった。これだけの長さの議論をするのは並大抵の力量ではない(A5サイズ上下二段300ページ超)。 新大久保を観光地とエスニックコミュニティという2つの層の重なりとして議論することで、社会学の「地域社会」概念を捉え直す議論を展開しているが、分析枠組の設定から事例の提示まで緻密に練られている。 新大久保に関する韓国語・日本語両方の情報にアクセスしている点もよい。新大久保、エスニックコミュニティ、都市社会学などに関心のある人は必読。2024/03/18