エーリッヒ・フロム―希望なき時代の希望

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  • サイズ A5判/ページ数 300,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784788508248
  • NDC分類 361.253
  • Cコード C3036

出版社内容情報

フランクフルト学派の思想から出発し、マルクス、フロイトに学んで冷厳な批判精神を鍛えつつ、スピノザとの出会いをへて「臨床の知」としての社会学に達したフロム。その軌跡を深い共感を持って描き出した気鋭の力作。

 ・「(151P)。この部分は、あたかも出来の良い推理小説を読んでいる時の、スリルと興奮を評者に与えてくれた。」(評者 千石好郎『社会学評論』VOL54.NO4/2004)

内容説明

『自由からの逃走』の真の評価は本書から始まる!穏やかなヒューマニストという通念の影に覆われたフロムの厳しい思索の全道程をはじめて思想史の深みにとらえ、従来のフロム像を一新する。

目次

第1部 方法としてのディアスポラ(自然の光・理性の社会心理学―自由からの逃走vs.啓蒙の弁証法;唯物論と「はざまの思考」のために―テクスト理論・言説理論の再検討)
第2部 排除の空間と亡命(「啓蒙の弁証法」の社会史―ワイマール・ドイツとフロム;文化社会学への寄留―初期のユダヤ神秘主義研究 ほか)
第3部 約束の地と倫理(匿名の幾何学的空間―フロムにおけるスピノザ主義;快楽と無力の権力支配―フランクフルト学派のフロム、その共同と対立 ほか)
第4部 守られない約束・希望へのまなざし(精神分析と様態の倫理学―忘れ去られた言語とマルクーゼとの対決;二つの自由とアナーキズム―積極的自由を越えて、アナーキズムの方へ)

著者等紹介

出口剛司[デグチタケシ]
専門は文化社会学、理論社会学、フランクフルト学派研究。1969年大阪に生まれる。1993年一橋大学社会学部卒業。2001年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。2001年立命館大学産業社会学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

14
文化社会学から唯物論へと旋回し、ドイツ化したユダヤ教から、ハシディズムへと惹かれ精神分析を援用したシュペングラー=ウェーバー的な唯物論的文化研究をおこなうが、拠点を独→米へと移しスピノザ一元論を知ることで、フロムが唯物論的社会心理学や倫理学を基礎とした近代批判に至るまでをポストモダン的立場から丁寧に論じている。著者によればフロム思想はフランクフルト学派の面々が構想した新しい理性を示唆するとのことだが大きく頁を割いて考察しているフロム的スピノザ主義から、ぼくはスピノザ哲学そのものに対して強く関心を惹かれた。2020/05/17

ひつまぶし

2
第4章まではがんばったが、後は斜め読み。社会学史と社会思想史をはしごして、フランクフルト学派としてのフロムの独自性を明らかにする——という話なのだと思うが、専門外なのでよく分からない。フロムの社会心理学に「臨床の知」の可能性を読み取ろうとする試みは、分からないながら記憶にとどめておきたい。思想的な整合性とか、議論の妥当性の検証など関係なく、ただただ思想をテキストだか、コンテキストだかで解釈していくアプローチがありうるのだということは分かった。しかし、出版するならもう少し書きようはあったのではないか。2023/06/11

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