出版社内容情報
ウーマンリブの嵐を予告した衝撃のデビュー作『三匹の蟹』から33年、『浦島草』で頂点を極めてなお旺盛な創作活動を示し続ける作家大庭みな子。その世界の核心をネイティブ、ジェンダー、セクシュアリティを読解の軸に鮮烈に開示する。
内容説明
自然と人間、民族と人種、女と男の境界をずらし、すべてが溶解する人間存在の混沌に立ち戻って、生とコミュニケーションの可能性を渾身の力で描ききった作家・大庭みな子氏。二十世紀後半の日本女性文学の最高峰をなす、妥協のない自由の追求とその作品世界の軌跡を、フェミニズム批評から照らし出す。
目次
第1部 外からの視座―日本の近代を超えるその一(「三匹の蟹」着床の場(ウーマン・リブ前夜のセクシュアリティ;一九六〇年代の文学状況とジェンダー)
「三匹の蟹」の由梨
「構図のない絵」―アメリカのなかの日本人女性、または人種・ジェンダー
「火草」の世界―ネイティヴ・ジェンダー・シェクシャリティ)
第2部 内からの視座―日本の近代を超えるその二(『ふなくい虫』と『浦島草』のあいだ;曖昧さを味わう(作者への返信に代えて)―『ふなくい虫』の「異母姉弟」をめぐって
『浦島草』の物語系
『浦島草』、または里に棲む山姥
『浦島草』と蒲原小作争議―「番頭」の末裔たち
大庭みな子と西条(東広島市))
第3部 自由へ―内でもなく外でもなく(『寂兮寥兮』―結婚神話を超えて;『海にゆらぐ糸』―生きた年月と自由;私小説の愉しみ―『海にゆらぐ糸』)
著者等紹介
江種満子[エグサミツコ]
1941年広島県生まれ。お茶の水女子大学国文学科を経て、東京教育大学大学院博士課程満期退学。文教大学文学部教授。日本近現代文学専攻、女性学
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