出版社内容情報
多くの人々が自分たちのセックスライフについてあからさまに語り始めた――ゲイ/レズビアンであること,あるいは子ども時代からの性的経験の物語。人々の意識に何が起こり,社会と文化がどう変容しつつあるのか? 未踏のセクシュアリティ領域を拓く。
私たちがセクシュアル・ストーリーの世界に生きているということは、べつに驚くにあたらない。あらゆる社会で、あらゆる形式で、ストーリーが語られるという止むことのない性質は、ますます認められるようになってきている。私たちは、ホモ・ナランズ(homo narrans)、つまり、ナレーターおよびそのストーリーを語る人間(humankind the narrators and story tellers)である、といってよい。社会そのものによって風合いが異なるにせよ、ストーリーの継ぎ目のない織物がいたるところで、人々を離合集散させ社会をなりたたせる相互作用をとおして現れる。(「第Ⅰ部」より)
・「語りのポリティクスに新たな社会学的地平を開く力作」(朝日新聞98.7.19 吉見俊哉氏評)
・「週刊読書人」98.8.21 赤川 学氏評
・「図書新聞」98.7.25 河口和也氏評
内容説明
カミングアウトからトークショウまで。人はなぜ自分の性生活や性経験についてあからさまに話し始めたのか。語りの社会学のために。
目次
第1部 ストーリー・ゾーンに入る(セクシュアル・ストーリーを語る文化;ストーリーの社会学への招待;セクシュアル・ストーリーをつくる)
第2部 カミングアウトはいたるところで―近代主義者の欲望、危険、回復のストーリー(カミングアウト、沈黙をやぶり、回復へ―近代主義者の物語の諸例;女性の文化とレイプ・ストーリー ほか)
第3部 世紀末のセクシュアル・ストーリー(物語とその時機;変化する後期近代のセクシュアル・ストーリー;親密性の市民権―セクシュアル・ストーリーを語る政治学 ほか)