内容説明
アンリ・トロワイヤは最後の皇帝ニコライ二世治下の、一九〇三年のロシアを描写するにあたって、若いフランス人、ジャン・ルセルを旅立たせたが、それによって読者も一緒にロシアを旅行しているような気分になってしまう。そしてモスクワの商人の娘と結婚することで終わる好奇心の強いこの旅行者の存在が、この本に小説の効果と魅力を与えているとはいえ、さらに幼年時代に作者自身が聞いた話の思い出がそれに生命を与えており、そのために二〇世紀初頭のロシアの社会が読者に生き生きと伝わって来る。
目次
到着
食卓を囲んで
ロシアの散策
見世物と夜食
風呂屋、居酒屋、木賃宿
正教会
労働者
軍隊
社会階級と行政機関
司法
モスクワのさまざまな顔
皇帝とその側近
農民
ニジニー・ノヴゴロド
ヴォルガ川
著者等紹介
福住誠[フクズミマコト]
1944年神奈県小田原市生まれ。早稲田大学第1政治経済学部卒業。早稲田大学第1文学部卒業。早稲田大学大学院博士課程修了。現在、私立相洋高校教論、ロシア・東欧学会、ロシア史研究会会員。訳書にコニライ・カラムジン『ロシア人の見た18世紀パリ』彩流社
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