内容説明
文学散歩本は、いわゆる文学に特化した都市案内であり、表現文化の地層を掘り下げながら、実は私たちが意味空間の重層性に身を置いていることを教えてくれる。『東京都市文学散歩』の新版。
目次
23区東部編(番町文人通りを歩く―白樺派の文学者たちを中心に;皇居から泉岳寺―『忠臣蔵』の世界を訪ねて;作家の家、曲亭馬琴のすみか―元飯田町中坂・神田同朋町・茗荷谷 ほか)
23区西部編(近代初期の留学生教育事情―清国留学生を中心として;漱石の東京;駒場に辿る文学・芸術・歴史―東大から前田尊経閣文庫まで ほか)
区内各地・多摩地域編(三鷹駅から吉祥寺へ、玉川上水を行く;アニメの町・田無を歩く;2次元と3次元のあいだ―『耳をすませば』の舞台となった街を歩く ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
20
漱石、子規、鴎外、一葉、鏡花、藤村、実篤など、綺羅星のような数多の作家達が、東京という場所で作品を紡いだことが分かる。 『たけくらべ』の見返り柳のように、微かに往時の面影を残す場所も見られるものの、今は碑文などでしかその存在を知り得ない場所も多くある。『武蔵野』で、自然の美しさを詩情を持って描いた国木田独歩が今の渋谷駅近くに居を構えていたことには驚かされる。 本書は、都心部を中心としつつも、ジブリ映画『耳をすませば』の舞台となった多摩の聖蹟桜ヶ丘の街にも紙幅を割くなど、エリアも内容も幅広い。⇒2023/08/09