内容説明
音楽や映画、文学、思想を軽やかに跳躍して、ときには挑発的な、ときには軽妙な語り口で国家や資本主義と対峙する。そして、不断の努力と相互扶助で日々の営みを支え、小さなさざ波から大きな潮目を変えていく、日常にあるアナキズムの可能性を活写する。
目次
音楽篇(東京の西から―フィッシュマンズについて;ルー・リードとニューヨーク;特異性の論争(ルビ:コントロヴァーシー)―プリンス、その経験の雫
キング・クリムゾンの残響―一九六九年の精神史
「少しづつ身体は死んでく」―ceroにまつわる思い出話
土と音楽)
映画篇(after the requiem―ジャン=リュック・ゴダールの脱構成;王をたたえない―『バーフバリ』について;映画のなかのアナキズム―『金子文子と朴烈』(監督:イ・ジュンイク、二〇一七年)論
俺たちは共産主義者だ―『ギミー・デンジャー』
「力」のための覚醒剤―スパイク・リーのために
チョッケツ、アジア―空族『バンコクナイツ』
狼の夢/夢の狼―『狼を探して』(監督:キム・ミレ、二〇二〇年))
文学篇(森崎民俗学序説―森崎和江における「水のゾミア」の思想;瀬戸内寂聴のアナキズム;悶え加勢すること―石牟礼道子について;鉱物的な眼―谷川雁;地を這う精神―『はだしのゲン』;月と靄―稲垣足穂におけるリーマンと相対性理論、タルホ・コスモロジー)
アナキズム思想篇(石川三四郎における地球の思考―ヨーロッパ滞在から土民生活へ;ダンスができない革命なんていらない―ルクリュからグレーバーまで;アナキズムの自然と自由―ブクチンとホワイトヘッド;抵抗とは生である;ロジャヴァ革命について)