目次
総論 『源氏物語』と「練香」
第1部 薫物編(夕顔巻の「移り香」;若紫巻の「追風」 ほか)
第2部 嗅覚編(「かうばし」考;『源氏物語』以外の「かうばし」 ほか)
第3部 用語編(若紫巻の「伏籠」;「心にく」い薫り ほか)
第4部 事典編(薫物用語事典)
著者等紹介
吉海直人[ヨシカイナオト]
昭和28年7月、長崎県長崎市生まれ。國學院大學文学部、同大学院博士課程後期修了。博士(文学)。国文学研究資料館文献資料部助手を経て、同志社女子大学表象文化学部日本語日本文学科特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
72
薫、は強烈に匂ったらしい。体臭?抱きしめた女人には移り香が。 ライバル匂宮は、負けじと調香の腕を磨き、名人に。なんと薫の体臭と同じ匂いを作って身に着ける。声帯模写もできるので、暗闇だと薫のふりして女人に近づける。変~2024/02/28
練りようかん
8
視覚情報の乏しい時代、薫りに敏感であれば人生の恩恵を受けられその反対も。逃げられた空蝉と逃げられなかった浮舟を思い恐ろしく感じると同時に、登場人物が嗅覚能力の有無で運命を分けたという読み方が面白かった。他の文学作品と比較した用法やイメージの醸成は勉強になり、「移り香」は殆どが男性で女性からの描写があまりないのは今更気付いて興味深い。匂宮の智と鋭の特異性が以前に増して感じられ、事典編で薫りと匂ひの違いを立ちこめると色・威光にまとめると、不義の子と光源氏の血筋と成る程くっきりして『源氏物語』の深みに嘆息した。2024/03/15