内容説明
なぜ、思春期を生きる少年少女たちは京アニの紡ぎ出す物語に惹かれるのか―そして、なぜ彼ら彼女らはずっと憧れていた“何か”をそこに発見するのか―京アニ作品『涼宮ハルヒの憂鬱』『CLANNAD』『けいおん!』『Free!』『中二病でも恋がしたい!』『響け!ユーフォニアム』を通して、現代における少年少女の居場所と、そこでの成長の物語を読み解く。
目次
1 思春期のゆくえ『涼宮ハルヒの憂鬱』(涼宮ハルヒはなぜ憂鬱なのか;セカイ系との距離;キョンの語り―個性と没個性の転倒;日常の発見)
2 「居場所」と「承認」の物語『CLANNAD‐クラナド‐』『けいおん!』『Free!』(「居場所」という救済への道筋;部活という絆;競わないスイマーたち;「さとり」たちのゲマイン・シャフト;「居場所」のゆくえ)
3 中二病という名の孤独『中二病でも恋がしたい!』(優しさの構造;孤独をめぐる病;中二病という共同体)
4 いまどきの教養小説『響け!ユーフォニアム』(自由と責任というリスク;他人にはない「特別」な価値を実現する生き方;教養小説としての「脱さとり」)
著者等紹介
野村幸一郎[ノムラコウイチロウ]
1964年三重県伊勢市生まれ、立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)、京都橘大学教授、日本近代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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as
3
個々の作品解説は面白かったのですが、期待していたのは、製作現場の高いクオリティーを出し続ける秘訣などの作り手サイドの人の話で、それが全くなく感想文の羅列になってしまったのは少し残念です。2017/07/21
K.F
2
京アニ(が扱った作品)論であり、文章的作品解釈がメインであり、アニメ的表現などには触れられていない。京アニの日常系(ファンタジーでないものと言う意味での日常系)を中心にその描き方の差異からテーマを炙り出している。ハルヒとユーフォの対比構造(最終的に平凡な日常に価値を見出す(ハルヒ) VS 特別な価値を持たなければ意味がない(ユーフォ))は、あまり考えて来なかったのでなるほどと思った。さとり世代の私に何故これほどまでユーフォが心に響くのか少し分かった気がした。2016/11/28
たかひー
1
★★★ 取り上げられているアニメのなかで実際に観たことがあるのはユーフォニアムのみ。それについての分析はなるほどと思うことも多かった。一方、観てない作品については、正直ふーんという感じ。2019/01/29
ウインド
1
アニメと社会科学を結びつける感じのよくある感じの本なのでまぁ、そういう感じの受け止め方で読んでた。深夜アニメに触れ始めてこの本を書くまでに大体2年くらいらしいなので、アニオタから見て首を傾げる部分があるのは当然かもしれない。『ハルヒ』に始まり『ユーフォニアム』で締められるところには『ハルヒ』世代のオタクである自分に(勝手に)響くところがあった。2017/05/15
才谷
1
京アニの作品が人気があるのはアニメのできが良いのはもちろんとして、作品のテーマとなる部分で今の若者(さとり世代)の心情に合致している部分が大きいのだなと思いました。作品のベクトルの違いはあれど京アニ作品の軸足となっているのは最初に書かれている「涼宮ハルヒ」で以後同じ地平(さとり世代向け)で作品を作り続けているんだなという印象。欲を言えばもっと京アニオリジナル要素の多い作品を取り上げるべきだったかと。 2017/01/29