出版社内容情報
《内容》 21世紀に入り,新編集者でスタート.臨床研究,遺伝子解析,疾患・病態概念の提示,動物モデルや細胞レベルでの研究等を取り上げ,研究や臨床の現場で役に立つよう解説. 《目次》 ●熊本スタディを振り返って ■はじめに ■糖尿病の二次予防―熊本スタディから 1.試験デザイン 2.血糖コントロール状態 3.慢性血管合併症の累積悪化率,リスク減少率 4.強化インスリン療法の副作用 5.Time of no returnと glycemic threshold ■熊本スタディの経済的側面― cost-effectiveness 1.Simulation study 2.熊本スタディの10年間における医療費の調査 3.インスリン頻回注射療法のQOLに与える影響 ■おわりに― evidence based medicine に向けて ●劇症1型糖尿病 ■はじめに ■研究の発端から膵生検の実施に至るまで ■膵組織・臨床像の分析に基づく新病型の確立 ■新病型の臨床像― hospital-based studyによる ■新病型の膵組織像 ■糖尿病の新しい病型としての「非自己免疫性劇症1型糖尿病」 ■「非自己免疫性劇症1型糖尿病」の成因と今後の展開 ■非自己免疫性慢性1型糖尿病 ■1型糖尿病の新分類 ■おわりに ●ステロイド治療が奏功する自己免疫性膵炎による糖尿病 ■はじめに ■ACPの概念 ■ACPによる糖尿病 1.糖尿病の臨床像 2.ACPの診断 3.ACPによる糖尿病症例の膵組織像 4.治療および治療効果,とくに膵内外分泌能について ■まとめ ●cAMPセンサーによるインスリン分泌調節機構 ■はじめに ■cAMP-GEFIIの同定 ■cAMP-GEFIIと結合するRim2と同定 ■cAMP-GEFIIとRim(Rim1およびRim2)の結合 ■cAMP依存性ホルモン開口放出におけるcAMP-GEFIIの役割 ■cAMP-GEFIIとRim2の相互作用と開口放出 ■cAMP依存性インスリン分泌におけるcAMP-GEFIIの役割 ■おわりに ●インクレチン:GIP受容体KOマウスから学ぶもの ■はじめに ■2型糖尿病におけるインクレチン ■GIP受容体欠損マウス ■GLP1受容体欠損マウス ■おわりに ●ATP感受性Kチャネルを介さないインスリン分泌機構 ■はじめに ■KATPチャネル依存性のブドウ糖作用 ■KATPチャネル非依存性のブドウ糖作用 ■KATPチャネル非依存性,Ca2+非依存性のブドウ糖作用 ■KATPチャネル非依存性ブドウ糖作用のメカニズム 1.ATP 2.GTP/G蛋白 3.Malonyl-CoA/long chain acyl-CoA ■KATPチャネル非依存性ブドウ糖作用の生理的意義 1.インクレチン作用とKATPチャネル非依存性ブドウ糖作用 2.ブドウ糖によるtimu-dependent potentiation 3.KATPチャネルノックアウトマウスの知見 ■生理的なインスリン分泌制御とin vitroでのインスリン分泌の相違点 ■結語 ●糖尿病における肝インスリン抵抗性 ■血糖値の変動を決める因子 ■耐糖能異常から糖尿病への進展様式における末梢組織でのインスリン抵抗性 ■糖の流れのなかでの肝臓の役割 ■インスリン抵抗性とは ■臓器別にインスリン抵抗性を分析する方法 ■肝糖産生とインスリン抵抗性 1.肝糖産生を調節している因子 2.耐糖能正常と糖尿病との比較 ■肝糖取り込みとインスリン抵抗性 1.肝糖取り込みを調節している因子 2.耐糖能正常と糖尿病との比較 ■肝機能障害と耐糖能異常 ■肝インスリン受容体ノックアウトマウス ■まとめ ●インスリン抵抗性分子機構への動物モデルアプローチ―インスリン抵抗性機構の多様性 ■はじめに ■方法 1.動物モデル 2.インスリン感受性とインスリンシグナル伝達の検討 ■各種モデルにおけるインスリン抵抗性メカニズムの違い 1.肥満によるインスリン抵抗性の機序 2.高脂肪食によるインスリン抵抗性の機序 3.食塩反応性高血圧によるインスリン抵抗性の機序 4.糖毒性によるインスリン抵抗性の機序 ■動物モデルを用いた研究のまとめと方向性 ●1型糖尿病へのモデル動物からのアプローチ ■はじめに ■1型糖尿病の遺伝 ■モデル動物を用いた遺伝解析 ■1型糖尿病モデル動物:NODマウス ■NODマウスを用いた1型糖尿病遺伝子解析 1.交配実験とマッピング 2.コンジェニックマウス 3.コンジェニックマッピング 4.Idd9:ラ氏島炎から糖尿病発症へ導く遺伝子 5.ヒトとの対応:遺伝子同士の対応 6.ヒトとの対応:遺伝子から機能へ ●2型糖尿病遺伝子カルパイン10―ゲノムワイドスクリーニングの成果と今後の展望 ■はじめに ■糖尿病原因遺伝子の解析―単一遺伝疾患としての糖尿病 ■糖尿病原因遺伝子の解析―多因子疾患としての糖尿病 1.NIDDM1遺伝子(Calpain 10) 2.NIDDM2遺伝子 3.FUSION 4.フランス人2型糖尿病の全ゲノム解析 5.2型糖尿病を対象としたその他の全ゲノム解析 6.日本人2型糖尿病を対象とした全ゲノム解析 ■おわりに ●転写因子遺伝子異常による糖尿病 ■はじめに ■転写因子とは? ■膵細胞の発生,分化とそれに関わる転写因子 ■転写因子遺伝子異常による糖尿病 1.HNF-1α 2.HNF-4α ■新たに発見された転写因子遺伝子異常による糖尿病 1.PDX-1 2.HNF1β 3.NeuroD/Beta2 ■糖尿病に関わる可能性が想定される新たに発見された転写因子遺伝子異常 1.Isl-1 2.Pax 4 3.Nkx 2.2 4.Islet-brain 1 5.Neurogenin 3 ■おわりに ●IMTが教えるもの ■はじめに ■測定法 ■耐糖能異常者の頸動脈肥厚度 ■IMTの危険因子 1.古典的危険因子 2.遺伝因子 ■動脈硬化症との関連性 1.冠動脈疾患 2.脳梗塞 3.末梢動脈閉塞症 4.動脈硬化症の予測指標としてのIMT ■IMTの経年変化 ■IMTに対する治療効果 1.糖尿病の治療 2.抗血小板薬 3.インスリン抵抗性改善薬 4.抗高脂血症薬 5.その他 ■早期動脈硬化検討の課題 ●糖代謝におけるPPARγの役割 ■はじめに ■PPARγとは ■PPARγの脂肪細胞分化における役割 ■PPARγの強力なアゴニスト,チアゾリジン誘導体によるインスリン抵抗性改善メカニズム ■PPARγの倹約遺伝子としての機能 ■PPARγ2遺伝子多型と2型糖尿病 ■PPARγの機能抑制による2型糖尿病の治療 ■おわりに ●Obesity Research Renaissance ―アディポサイトカイン概念の確立 ■内臓脂肪研究の歴史 ■body mapping ■分泌臓器としての脂肪組織 ■新しい脂肪細胞分泌蛋白,adiponectinの発見 ■おわりに ●チアゾリジン系インスリン抵抗性改善薬によるVEGF産生増加 ■はじめに ■VEGFに着目した契機 ■VEGFとは―とくに糖尿病網膜症との関係 ■トログリタゾン投与患者の血漿VEGF値 ■トログリタゾン投与による血漿VEGF値の推移 ■VEGF値測定上の注意 ■チアゾリジン系薬剤による脂肪細胞VEGF発現増加 ■チアゾリジン系薬剤による脂肪細胞からのVEGF分泌増加 ■脂肪細胞以外の培養細胞でのチアゾリジン系薬剤の効果 ■VEGF発現増加の機序 ■解決すべき疑問 ■おわりに
内容説明
本書では、糖尿病に関する広範な学問領域のなかで、とくに進歩の著しい領域や注目される課題を選び、その研究の足取り、成果の現状、今後の展望などを専門的立場から解説していただいた。
目次
熊本スタディを振り返って
劇症1型糖尿病
ステロイド治療が奏功する自己免疫性膵炎による糖尿病
cAMPセンサーによるインスリン分泌調節機構
インクレチン:GIP受容体KOマウスから学ぶもの
ATP感受性Kチャネルを介さないインスリン分泌機構
糖尿病における肝インスリン抵抗性
インスリン抵抗性分子機構への動物モデルアプローチ―インスリン抵抗性機構の多様性
1型糖尿病へのモデル動物からのアプローチ
2型糖尿病遺伝子カルパイン10―ゲノムワイドスクリーニングの成果と今後の展望〔ほか〕
著者等紹介
岡芳知[オカヨシトモ]
山口大学医学部第三内科科学教室
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