出版社内容情報
《内容》 未だ発生機序に不明な点が多い本症について最新の学説，診断，治療成績などから生物学的特性を解説．さらに最新の治療方法や予防研究をカラー写真を使いわかりやすく説明． 《目次》 1 子宮内膜症とは（定義）…… 北 正人，折井文香，藤井信吾 1 概念的定義 2 病理組織学的定義 3 診断的定義 4 臨床子宮内膜症 5 子宮内膜症の分類上の定義 1. 内性子宮内膜症・外性子宮内膜症と子宮腺筋症 2. 骨盤内子宮内膜症と骨盤外子宮内膜症 3. 卵巣子宮内膜症と卵巣チョコレート嚢胞 6 非定型的子宮内膜症 1. 卵管内膜症 2. 間質性子宮内膜症 2 子宮内膜症の疫学…………… 清水元彦，北 正人，藤井信吾 1 子宮内膜症の疫学調査を評価する上で注意すべきこと 2 子宮内膜症の罹患率 1. 症例数の多い疫学調査による罹患率 2. 腹腔鏡の適応別による子宮内膜症の罹患率の報告 3. 卵管結紮施行患者における子宮内膜症の罹患率 3 一般女性における子宮内膜症の発生率 4 risk factors 1. 年齢 2. 社会経済的条件 3. 人種 5 その他のrisk factors 1. 月経 2. 避妊法 3. 生活習慣 （カフェイン，アルコール，喫煙，運動） 4. 体型 5. 化学物質 6. risk factorsのまとめ 3 子宮内膜症の組織発生機序（pathogenesis） ……………………………………………中山邦章，藤井信吾 1 組織発生機序 1. 子宮内膜症の起源を子宮内膜組織由来とするもの 2. 子宮内膜症の起源を子宮内膜以外の組織に求めるもの 3. 複数の説をあわせたもの複合説 2 発生要因 3 おわりに 4 子宮内膜症の病理形態……… 石丸忠之，中村恒一，藤下 晃 1 肉眼所見 1. 一次所見 2. 二次所見 2 光学顕微鏡的形態 1. 子宮内膜症の基本的病理所見と本邦におけるその分類 2. 子宮内膜症病変の経時的変化 3. 月経周期との関係 4. 肉眼的に子宮内膜症が疑われる病変組織で よく観察される子宮内膜症以外の所見 5. 子宮内膜症性嚢胞（卵巣チョコレート嚢胞） 3 電子顕微鏡学的形態 1. 透過型電子顕微鏡所見 2. 走査型電子顕微鏡所見 4 ホルモン反応性変化 性ステロイドレセプターの検討 5 臓器別所見 1. 直腸腟中隔の子宮内膜症 2. 胸郭内の子宮内膜症 3. 臍子宮内膜症 4. 腹壁の子宮内膜症 5. リンパ節子宮内膜症 6. 腸管子宮内膜症 7. 尿路系の子宮内膜症 5 子宮内膜症の生物学的特性（biological characteristics） ……………………………………………土岐利彦，藤井信吾 1 増殖能 1. 子宮内膜症の細胞増殖能 2. 子宮内膜症における性ステロイド受容体の発現 3. 子宮内膜症とサイトカイン・増殖因子 4. 子宮内膜症とアポトーシス 2 染色体分析 3 腫瘍性格 1. 内子宮内膜症の局所浸潤能 2. 子宮内膜症上皮の組織学的変化 3. 子宮内膜症組織のクロナリティ解析 4. 子宮内膜症における癌関連因子の異常 4 悪性変化 5 子宮内膜症組織の増殖調節 6 臨床症状……………………… 神崎秀陽，岡田英孝，安田勝彦 1 疼痛 1. 月経痛（月経困難症） 2. 性交痛 3. 骨盤腔外での症状 4. 原因 5. 骨盤臓器内の神経支配 6. 痛みの伝達機構 2 不正出血 1. 子宮以外の部位からの出血 2. 子宮出血 3 不妊 1. 機械的障害 2. 内分泌学的異常 3. 免疫異常 4. 腹腔内環境の異常 7 臨床像と診断…………………………… 小畑孝四郎，星合 昊 1 はじめに 2 症状 3 臨床所見 4 診断方法 1. 血清CA125 および血清CA19-9 2. 超音波断層法 3. 子宮卵管造影 4. CT 5. MRI 6. 腹腔鏡 8 分類（classification）……………………………… 星合 昊 1 はじめに 2 病因論的分類 Sampsonの病因論的分類 3 発生部位別分類 滝による発生部位別分類 4 臨床進行期分類 1. Hoffmannの分類 2. Beechamの分類 3. Acostaの分類 4. Kistnerの分類 5. Buttramの分類 6. AFS分類 7. r-AFS分類 8. EEC分類 9. r-AFSの改編 10. 新しい分類法の試み 5 本邦における子宮内膜症の臨床進行期分類の歴史と特徴 1. 高邑の分類 2. 杉本の分類 3. TOP分類 4. 我々の分類の考え方 6 新分類作成のための問題点と深部子宮内膜症の概念 7 おわりに 9 子宮内膜症の治療総論………………………………… 杉並 洋 1 子宮内膜症の病態 2 子宮内膜症の治療 1. 疼痛の軽減を目的とした治療 2. 妊孕性の回復を目的とした治療 3 まとめ 10 薬物療法（medical treatment）……… 石丸忠之，藤下 晃 1 待機療法 2 薬物療法 1. 基本的概念 2. ダナゾール療法 3. プロゲストーゲン 4. エストロゲン・プロゲストーゲン混合剤 ―“偽妊娠療法” 5. GnRHアナログ 6. ゲストリノン 7. ジェノゲスト 8. その他 11 開腹保存手術………………………………松浦講平，岡村 均 1 開腹保存手術の治療目標と適応 1. 徹底した癒着剥離と病巣除去 2. 和痛効果と痛みの再発防止 3. 妊孕能向上／温存 4. 術後癒着の防止 5. 卵巣腫瘍との鑑別診断 2 神経支配と疼痛緩和対策 1. 骨盤臓器の神経支配 2. 痛みの概念 3. 子宮内膜症患者の痛み 4. 手術テクニック 3 癒着の病因と術後の癒着防止対策 1. 癒着防止対策 2. 術後の癒着防止対策 3. 骨盤臓器・疾患・術式からみた癒着形成の特異性 4 手術操作 1. 子宮内膜症性嚢胞（卵巣チョコレート嚢胞） 2. ダグラス窩の解放 3. 仙骨子宮靱帯の切断 4. 子宮位置の矯正 ─前屈位置への矯正あるいは前屈の強化 5. ダグラス窩の修復・形成 5 術後成績─術後妊娠率からみた妊孕能促進効果 6 まとめ 12 内視鏡手術（endoscopic surgery）……武内裕之，桑原慶紀 1 はじめに 1. 診断的腹腔鏡 2. 腹腔鏡下手術 2 術前準備 1. 術前検査 2. インフォームド・コンセント 3. 月経周期の調節 4. colon cleaning 3 腹腔鏡下手術に必要な手術器具 1. 子宮マニュピレーター，レクタムプローブ 2. 鉗子類 3. 止血器具 4 手術のセットアップ 1. 腹腔鏡の方法と手術手技 2. 患者の体位 3. トロカールの位置 5 腹腔鏡下手術の実際 1. 腹腔内の観察 2. 腹膜病変の処置 3. 卵巣チョコレート嚢胞 4. ダグラス窩閉鎖例の腹腔鏡下手術 5. 仙骨子宮靱帯切断術 6. 薬物療法と腹腔鏡下手術の併用 6 手術成績 1. 組織所見 2. 疼痛の改善率 3. 妊娠率 7 まとめ 13 根治手術（definitive surgery）………松浦講平，岡村 均 1 はじめに 2 術式 1. 皮膚切開 2. 子宮の把持 3. 広間膜腔の展開による側方からダグラス窩方向への 癒着剥離 3 手術前後の補助療法 4 手術療法後のエストロゲン補充 14 薬物療法と手術療法の併用………………松崎幸子，深谷孝夫 1 はじめに 2 術前薬物療法の基礎 3 術前薬物療法の臨床研究 1. r-AFSスコア 2. 卵巣チョコレート嚢胞 3. 手術時間 4. 術後の子宮内膜症病変の再発率，妊娠率， 疼痛の改善度 5. チョコレート嚢胞の術式の違いによる検討 4 術後薬物療法の基礎 5 腹腔鏡下手術の実際 1. 不妊症 2. 疼痛 3. 子宮内膜症病変の再発率 6 おわりに 15 骨盤外子宮内膜症（extrapelvic endometriosis） ……………………………………………森岡信之，深谷孝夫 1 はじめに 2 皮膚子宮内膜症 1. scar endometriosis 2. 臍子宮内膜症 3. 鼠径子宮内膜症 3 胸郭内子宮内膜症 1. 胸膜・横隔膜子宮内膜症 2. 気管支・肺子宮内膜症 4 尿路子宮内膜症 1. 膀胱子宮内膜症 2. 尿管子宮内膜症 5 腸管子宮内膜症
内容説明
本書にはｕｐ‐ｔｏ‐ｄａｔｅで詳細な子宮内膜症の診断と治療に関する情報を盛り込んだ。
目次
子宮内膜症とは―定義
子宮内膜症の疫学
子宮内膜症の組織発生機序
子宮内膜症の病理形態
子宮内膜症の生物学的特性
臨床症状
臨床像と診断
分類
子宮内膜症の治療総論
薬物療法〔ほか〕
