内容説明
混沌として希望の持てない時代にこそ、人類は“理想の世界”を思い描き実現しようとしてきた。ギリシア時代から近代に至るまでの代表的なユートピア論を紹介・検討し、現実を再建するための“理想”とは何かを考える。
目次
第1章 人間の抱く二つの世界
第2章 ギリシア人のユートピア
第3章 プラトンからトマス・モアへ
第4章 ルネッサンスと近世のユートピア
第5章 ベーコンとカンパネラ
第6章 十八世紀と産業主義
第7章 土地の正しい分割使用
第8章 機械のもたらすもの
第9章 モリスとハドソンとウェルズ
第10章 近世ユートピアのイメージ
第11章 党派のユートピア
第12章 ユートピアの要件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
午後
2
「地上の出来事の歴史は、人類の物語の半分に過ぎない」として、プラトン、トマス・モアからウィリアム・モリス、H・G・ウェルズまで、ユートピア思想の変遷を活写した良書。「ユートピア哲学は、彼らの理想に形と生命を与えることの必要性を見逃さなかった点で、過去の一層ぼんやりした宗教・倫理体系よりもはるかに進歩したものであった。」「われわれはまず、空中楼閣を築かなければならない」とあるように、現在ますます困難になっている、幸福な未来をイメージすること、それがユートピアの実現のための第一歩であると教えてくれる。2022/07/06