内容説明
大きな窓のような目、長く突き出た口、踏んばった両脚に直接顔面がのるような姿―この異形の土偶や大きな石棒などをとり込んだ、河原のような累々たる石の群れが、八ヶ岳南麓の水田の下から出土した。縄文中期の繁栄がすぎさった中部高地の縄文最後の光芒を描く。
目次
第1章 金生遺跡の発見(八ヶ岳南麓に縄文後・晩期の遺跡が;富士山を望む地)
第2章 あらわれた大配石遺構(石をめぐらす住居の出現;祈りの場―1号配石;石棒と石剣―4号・5号配石;金生最後の配石―2号・3号配石;配石墓;金生ムラの変遷)
第3章 縄文後・晩期の祭祀(石への祈り;異形の土偶;土製耳飾り;イノシシと祭祀)
第4章 縄文晩期の情景(山岳遠望;縄文後・晩期集落と広域交流;古代中国との交流を考える;晩期終末のムラ)
第5章 よみがえる金生遺跡(配石と住居の復元;史跡公園と考古資料館)
著者等紹介
新津健[ニイツタケシ]
1949年、山梨県生まれ。上智大学大学院修士課程文学研究科史学専攻修了。元山梨県埋蔵文化財センター所長。現在、昭和測量株式会社文化財調査課研究顧問、山梨英和大学非常勤講師。専門分野:考古学(縄文時代)、文化財保護(史跡・景観関係)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
14
タイトルにあるとおり、この金生遺跡で一番有名なのは大配石と異形の土偶なんだろうけど、ほかにもイノシシの骨が100体以上も発見された土坑とか、中国からの影響を受けているかもしれない石剣や三足土器とか、面白いものがもろもろ出土している。いろんな博物館に行くたびに、「なんで、この土器が耳飾りだとわかるんだろう?」と疑問に思ってたのだが、実際にここで耳飾りをしている(あるいはしてないけど、耳に穴があいている)土偶が見つかってるから、なのですね。2021/03/07
月をみるもの
12
現地に行ってきたので再読。誰もいない静寂の中、背景の八ヶ岳とともに、再現された大配石を堪能。 https://twitter.com/bamboo4031/status/15257503224127897602022/05/15
うしうし
1
斜め読みだが、読了したものとして登録。金生遺跡は山梨県北杜市所在。縄文晩期を主体とする遺跡で、国指定史跡。大型の配石遺構は墓に関わるもの。大型の中空土偶(p58)、イノシシの下顎骨(焼骨)を納めた土坑(p66)など。12月の冬至の頃、太陽が甲斐駒家ヶ岳山頂に沈むのが遠望できる地点に立地(p72)。石剣(両刃・片刃)や三足土器は中国とのかかわりを想定する(p81~84)。2022/10/09
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