内容説明
ホームレスの増加と可視化が日本の社会問題となり、行政による就労自立施策が進められるなかで、ホームレス当事者、ボランティア、地域住民の三者に関する検討を通して、ホームレスをめぐる支援関係を社会学的に考察する。
目次
序章 ホームレス問題とホームレス支援
第1章 問題の所在―ホームレス問題の社会的構築
第2章 ホームレスをめぐる社会状況―個人化と社会的排除
第3章 ホームレスの類型化に関する検討
第4章 支援当事者としてのホームレス―インタビュー調査の結果から
第5章 ホームレス支援をめぐる医療・福祉ボランティアの意識と実践―インタビュー調査・参与観察の結果から
第6章 ホームレスと地域―住民意識調査の結果から
終章 ホームレス支援における三つのアクター
著者等紹介
渡辺芳[ワタナベカオル]
1997年、東洋大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。2007年、東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、東洋大学人間科学総合研究所奨励研究員。2010年度より東洋大学非常勤講師。研究調査活動に並行して神奈川県川崎市でホームレス支援に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひつまぶし
1
1〜3章がすごく良くまとまっていて勉強になった。社会的に構築された問題としてのホームレス、そのホームレスとかかわるアクターの位置付け、社会的排除の構成などに加え、社会学の理論とホームレス問題の先行研究に過不足なく目配りして整理されている。調査データに基づく4〜6章もそれぞれ興味深い。しかし、前半の議論が後半の調査から新たな知見を導き出すための枠組みになっていないので、一冊の研究書としての評価は難しい。とはいえ、ものすごい労力が詰まっているのは確かだし、こういう整理をきっちりやってくれているのはありがたい。2021/10/02