内容説明
琵琶湖の東南部に位置する雪野山の山頂から、古墳時代前期の未盗掘の竪穴式石室が発見された。出土した三面の三角縁神獣鏡ほかの副葬品から、ここに埋葬された首長の性格、ヤマト王権との関係、首長同士の交流など、当時の地域首長の姿を明らかにする。
目次
第1章 雪野山古墳の発見(未盗掘石室と三角縁神獣鏡の出土;新事実の発見と研究の基礎)
第2章 雪野山古墳を掘る(竪穴式石室の発掘;原位置のままの遺物検出 ほか)
第3章 築造のプロセスと儀礼(雪野山古墳の築造プロセス;竪穴式石室の構築と儀礼 ほか)
第4章 三角縁神獣鏡の語るもの(三角縁神獣鏡の編年;雪野山古墳の年代的位置付け ほか)
第5章 国家形成過程のなかでの雪野山古墳
著者等紹介
佐々木憲一[ササキケンイチ]
1962年東京生まれの京都育ち。1995年ハーヴァード大学大学院人類学研究科博士課程修了(Ph.D.)。明治大学文学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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月をみるもの
9
若かりし頃の著者が発掘に参加した縁で、いま明治大学博物館で「今 甦る!琵琶湖に君臨した王 雪野山古墳展」をやっている。読んでから行くか、行ってから読むか。松木さんのレポも圧倒的な臨場感なので、あわせてぜひ。https://bookmeter.com/books/64977422019/10/21
遊動する旧石器人
1
2004年8月第1刷。再読。未盗掘の石室として有名な雪野山古墳の発掘調査結果・考察を佐々木憲一さんが概略的に纏めた一冊。三角縁盤龍鏡は福岡県藤崎遺跡出土鏡と同笵鏡。鍬形石は福岡県竹並古墳出土貝輪と同寸製品。他にも鉄鏃に九州的様相、木棺の縄掛突起にも九州的様相を垣間見えることから、被葬者は九州とのつながりがあった人物とも考えられる。雪野山古墳周辺遺跡では、筑前の技法を持った土師器も出土しており、周辺が交易の要所であったことも想定出来る。ただしヤマトを介した交易であった可能性もある。2016/07/18
うしうし
1
県立図書館で借りる。再読。2014/07/13