内容説明
群馬県南西部には、イタリア・ポンペイのように、榛名山噴火の火山灰の下に五世紀の景観と生活の跡がそのまま残されていた。首長の館跡を中心に、古墳・水田経営の跡・農民の住居跡の発掘調査や渡来人の遺物などから五世紀の地域社会の全体像を復元する。
目次
第1章 首長居館の発見
第2章 館の構造を読み解く
第3章 遺物が語るもの
第4章 聖水祭祀
第5章 古墳時代の地域社会
第6章 三ツ寺1遺跡の首長像
著者等紹介
若狭徹[ワカサトオル]
1962年生まれ。明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。群馬町教育委員会で埋蔵文化財行政、国史跡保渡田古墳群の整備、かみつけの里博物館の建設・運営に携わる。現在、群馬町教育委員会主査・文化財保護主事
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感想・レビュー
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月をみるもの
10
来週、いよいよ群馬に保渡田古墳群を見に行くので予習! この古墳に葬られている首長の居館なのか、あるいは水に関連した祭祀施設なのか>三ツ寺1遺跡。 当時、榛名山麓は朝鮮半島から導入された最新技術によって日本でも最も栄えた土地だった。なかでも馬の導入は「近代蒸気機関の発明に匹敵する大変なエネルギー革命」であり、グンマーという地名の由来でもあるのだ。 https://twitter.com/bamboo4031/status/10612171006376960012018/11/10
四不人
2
なんてこったい、古墳時代に居館に立派な馬出や横矢があるやんか。う〜ん。こうなると「防御性」とか「技巧性」「先進性」というのは考え直さなならんかなあ。2018/09/07
ゆ
1
遺跡を学ぶシリーズはどれも面白い。2016/11/07
遊動する旧石器人
1
2004年2月第1版第1刷。首長居館発見の嚆矢ともされる三ツ寺Ⅰ遺跡。部分的な発掘で終わり、そこを新幹線と県道により分断されている現状は悲しいものがある。しかし、三ツ寺Ⅰ遺跡の発掘により、首長居館像がわかるようになり、その後全国で発見が続いている。全面が発掘されているわけではないので、三ツ寺Ⅰ遺跡は推定首長居館だが、同様のものが北谷(きたやつ)遺跡で発見された。本書は北谷遺跡の発掘途中であるため紹介に留めているが、本書の著者である若狭徹さんのその後の著書で見ることができる。2016/08/06
TOM
0
1981年、上越新幹線建設工事に伴う発掘調査により地中から姿を現した遺跡は「豪族居館」と認定され、その後の古墳時代研究に大きな影響を与えた。本書は5世紀後半の榛名山東南麓域に残る遺構―三ツ寺Ⅰ遺跡・保渡田古墳群・馬匹生産遺構・集落・水田―を特に“水”をキーワードに読み解くことで、古墳時代地域社会の景観復元を試みる。2022/12/30
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