出版社内容情報
ぜっぱん【絶版】……何らかの事情で、その本の以後の印刷・販売を中止すること。
ぶんこ【文庫】……小型のシリーズによる、名著(普及の望まれる本)の廉価版(の名)。「――本」(『新明解国語辞典』第6版、三省堂)
本書は、戦前期(1910-45年)から戦後期(1945-90年)、そして平成以降(1990-2020年)の3つの時代区分に沿って、さまざまな事情で絶版になった文庫本の作品を紹介・解説する。岩波文庫、新潮文庫、角川文庫など現在まで続く老舗文庫をはじめ、春陽堂文庫や金星堂名作叢書、アカギ叢書などのいまはもう失われた文庫まで、ありとあらゆる絶版文庫を、著者が掘り出した希少なコレクションのなかから91点厳選し、作品の見どころから作者のプロフィール、当時の出版事情などのトリビアをふんだんに交えながら1点ずつ解説する。
菊池寛や尾崎紅葉ら文豪たちの作品の貴重な文庫判、トルストイやリンドグレーンらの海外の名作、かつてサンリオが出版していた少女向け作品を集めたサンリオ・ギフト文庫や先駆的なSFやマニアックな現代文学を集めたサンリオSF文庫、大手版元のものとほとんど変わらない品質の希少な文庫判同人誌、九州で活動する新しい出版社・伽鹿舎の文庫など、「文庫」と名の付くものは徹底的に網羅している。さらには文庫本それ自体にとどまらず、矢口進也『文庫そのすべて』(図書新聞)をはじめとする「文庫ガイド本」の詳細なリストまで所収する。
古書好き、文学好きは必読のガイドであり、文庫を縦軸にして戦前から現在までの出版史の一側面を照らし出す書でもある。貴重な書影も多数所収。
目次
はじめに
第1章 戦前の絶版文庫――一九一〇―四五年
ストリンドベルヒ『絆』島田青峰訳(「アカギ叢書」第三十六編)、赤城正蔵、一九一四年
ザイツェフ『心の扉』昇曙夢訳(「海外文芸叢書」第二編)、海外文芸社、一九一三年
エルマー・ライス『街の風景』杉木喬訳(改造文庫)、改造社、一九三九年
菊池寛『東京行進曲』(改造文庫)、改造社、一九三〇年
シエンキエヴイツチ『十字軍の騎士』森田草平訳(「世界大衆文学全集」第五十一巻)、改造社、一九三〇年
田山花袋『曠野の恋』(金星堂名作叢書)、金星堂、一九二二年
マイエル『愛国者』上・下、岡村弘訳(世界文庫)、弘文堂、一九四〇年
『エマスン詩集』中村詳一訳(「泰西詩人叢書」第二編)、聚英閣、一九二三年
有島武郎『三部曲』(「有島武郎小全集」第九巻)、春陽堂、一九三三年
吉井勇『戯曲 夜』(「現代文芸叢書」第十七編)、春陽堂、一九一二年
エッヂオース『少技師ジヤーバス』前田晃訳〔春陽堂少年文庫〕
内容説明
名作・傑作91点を絶版文庫の山から掘り出して、作品の醍醐味を解説する。古きから新しきまで、レーベルもメジャー/マイナーを問わず、文庫と名が付くものは徹底的に網羅した、古書愛好家や文学読み巧者は必読のガイド。文庫を縦軸にして戦前から現在までの出版史の一側面も照らし出す。
目次
第1章 戦前の絶版文庫―一九一〇‐四五年(ストリンドベルヒ『絆』島田青峰訳(「アカギ叢書」第三十六編)、赤城正蔵、一九一四年
ザイツェフ『心の扉』昇曙夢訳(「海外文芸叢書」第二編)、海外文芸社、一九一三年
エルマー・ライス『街の風景』杉木喬訳(改造文庫)、改造社、一九三九年 ほか)
第2章 戦後の絶版文庫―一九四五‐九〇年(ニコライ・ヴィルタ『孤独』上・下、鹿島保夫訳(青木文庫)、青木書店、一九五三年
大佛次郎『パリ燃ゆ』全六巻(大佛次郎ノンフィクション文庫)、朝日新聞社、一九八三年
ドーデー『ナバブ―パリ風俗』上・下、河合享訳(岩波文庫)、岩波書店、一九五二年 ほか)
第3章 新しい絶版文庫―一九九〇‐二〇二〇年(ギッシング『ギッシング初期短篇集「親の因果が子に報う」他8篇』松岡光治編訳、アティーナ・プレス、二〇一六年;泉鏡花『化鳥 夫人利生記―いつか読んでみたい一冊1』『絵本の春 寸情風土記―いつか読んでみたい一冊2』『爪びき 道陸神の戯―いつか読んでみたい一冊3』(泉鏡花記念館文庫)、泉鏡花記念館、二〇〇九年、二〇一二年、二〇一七年
ヤンボ『無限の探検家たち』久保耕司訳(イタリアSF文庫)、イタリアSF友の会、二〇一七年 ほか)
著者等紹介
近藤健児[コンドウケンジ]
1962年、愛知県生まれ。中京大学経済学部教授、専攻は国際経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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