内容説明
古今東西で描かれてきた時間SFを200作品以上読み解きながら、基本的なアイデアと物語パターンを整理して紹介する。タイム・トラベル、タイム・スリップ、並行世界への跳躍、自己の重複、枝分かれする世界、反復する時間…。作品がもつその独特の時間世界を理解したうえで、諸作品を深く読み込み、時間SFのシニカルさやアイロニーがもつ魅力を抽出する。そして時間SFが、現代の時代感覚に確かな手触りを与える批評性を秘めている事実をあぶりだす。
目次
序章 時間SFと時代の感覚
第1章 ジャンルを俯瞰する
第2章 タイム・パラドクスと決定論的世界
第3章 時間SFとニヒリズム―価値意識の惑乱
第4章 物語論としての時間SF―読みのシニシズム
終章 時間の味わい―感覚的な悦びをもたらすテクスト
著者等紹介
浅見克彦[アサミカツヒコ]
1957年生まれ。和光大学表現学部教授。専攻は社会理論、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
35
時間SFの手法・パターンの分析と同時に、作品ガイドにもなっている。著者が読みこなした作品の多さに、とにかく圧倒される。これからの読書に役立ちそうだ。後半は文学的意義の論考。ラストでは、どうやって時間感覚を文章から感じるか、を論ずる。われわれが時間を間接的にしか捉えられないのなら、文章から擬似的に捉えるものこそ、時間感覚そのものと扱っていいのでは? というのが私の単純な考えですが。2016/01/18
やすお
8
時間は最も身近な存在であるが、最も自分がコントロールできないものだ。故に、時間をコントロールする物語である時間SFは、様々なSFジャンルの中でも魅力的なものになるのだと思っている。本書を読んだきっかけは、難しく感じる時間SFをもっと楽しめるようにと考えてのことだ。様々な作品の解説があり、なるほどと思うところもあったが、決定論というほどではないし、文法というのもよく分からなかった。結局、多くの作品を読むことが、より深く時間SFを堪能するための王道だと思った。人はこれを「急がば回れ」という。2017/05/25
フタ
4
読みたい本が増えた( ´ω` )しかし言及してある本、すごいネタバレしまくりwというか、アニメもオッケーなら漫画も入れて欲しかったなあ。佐々木淳子さんとか2016/01/30
しゃんぷーしょく
3
古今東西のSF作品を「なぜ過去へ飛ぶのか」「世界観はどうなっているのか」「タイムパラドクスの扱い方はどうか」などの観点から論じた本。解説書にしてブックガイド。小説だけでなく漫画やアニメも考察しているのが面白い。時代別に書かれ方の特徴を分析したり時を飛ぶ手段について考えたりするのも面白そうだ2018/09/06
黒澤
2
時間SFの理論を説明する作品でありながら、ブックガイドとしても有用な一冊。2023/06/18
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