内容説明
アメリカ文化と日本の音楽の関係から初音ミク、『けいおん!』までを対象に、歴史や文化によって編み上げられる音や音楽に関する私たちの感性を明らかにする。音や音楽を聴く感覚や作法に支えられた聴覚文化を批評する音のカルチュラル・スタディーズ。
目次
聴覚をめぐる物語
第1部 日米関係と聴取者のアイデンティティ(英語を聴取してしまう耳―小島信夫『アメリカン・スクール』と戦時期の英語教育;通訳者の政治―小島信夫『抱擁家族』における日米関係;虚構的な「日系人」の戦略―一九七〇年代の細野晴臣とアメリカ;「アメリカに侵された子供」の耳―「戦後四十年」の村上龍の記憶;一九八〇年代の「植民地主義者」による「交通」―坂本龍一『NEO GEO』におけるアジアへの視点;被抑圧者が奏でる音楽―ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの路上演奏の意味;「対抗文化」の記憶―浦沢直樹『二十世紀少年』における音楽の政治)
第2部 電子メディアと聴取者のリアリティ(「擬音」のリアリティ―音声化された文学作品としてのラジオドラマ;ラジオから「肉声」を聴くということ―室生犀星『杏っ子』が明らかにする肉声の仮想性をめぐる問題;初音ミクとの接触―“電子の歌姫”の身体と声の現前;「空気系」という名の檻―アニメ『けいおん!』と性をめぐる想像力)
著者等紹介
広瀬正浩[ヒロセマサヒロ]
1973年、岐阜県生まれ。南山大学文学部卒業、名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得後退学。博士(文学、名古屋大学)。東海高等学校勤務を経て、椙山女学園大学国際コミュニケーション学部専任講師。専攻は日本文学研究、ポピュラー音楽研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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