出版社内容情報
まんがはすでに終わってしまったのか?──手塚治虫の死以後のまんががジャンルとして拡散・解体する状況を、「有害」コミック問題や「少年ジャンプ」の凋落などのまんが界を大きく揺るがした出来事や作品をとおして診断する評論集。
はじめに――「まんがは終わった」か?
1 手塚治虫のいない日々
(1)不在の耐えられない軽さ――手塚治虫のいない日々のために
(2)アナザー・ワン・マンズ・ドリーム――事業家としての手塚治虫
(3)まんがはなぜ「差別」を描くのか――手塚作品への抗議をめぐって
(4)まんがにおける性表現――「有害」コミック問題の本質
a まんがの「有害」指定と手塚治虫の不在
b 「成年コミック」第一号の“基準”
(5)セックスと嘘とステレオタイプ――手塚治虫の“性表現”
(6)まんがやビデオの影響という「物語」――神戸小六殺害事件を問う
2 全てまんがになる日まで
(1)物語ることへの欲望は消えたか――少年まんがの変容とその可能性
(2)「コミック文化」の現在――だれが「まんが」を読んでいるのか?
(3)まんがは高校生になぜ読まれるのか――情報化社会における飢餓の感覚について
(4)職業としてのまんが読者――ある研究会のためのノートから
(5)まんがは活字離れを進めるか――学校図書館とまんがの奇妙な関係
(6)まんがは「歴史意識」を持ちうるか――文庫判(2)孤独な慰霊碑――『人間ども集まれ!』と大人まんがにおける手塚治虫
(3)『ジャングル大帝』オリジナル版の復刻
(4)『ブッダ』――手塚少年まんがの最後の遺産
(5)幻の『火の鳥』を追いかけて
(6)『ブラック・ジャック』と手塚まんがの“永遠の生命”
(7)かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』――リアルタイムという楽しみ
(8)山本直樹『YOUNG&FINE』――あの春の光と影は
(9)安達哲『さくらの唄』――芸術的抵抗と挫折
(10)矢萩貴子『仮面舞踏会』――憎悪する官能
(11)内田春菊『けだるい夜に』――性差の崩壊感覚
(12)ねこぢる『ねこぢるうどん』――汚れなき悪意
(13)田中たみい『スイマー、千年の夏』――“やおい”という永久運動
(14)柴門ふみ/糸井重里『ビリーブ・ユー』――過剰に無色な広告まんが
(15)吉田秋生『ハナコ月記』――まんが誌に載らないまんが
(16)柳沢きみお『形式結婚』――明るい「悩み相談室」
(17)上村純子『あぶない!ルナ先生』――「成年マーク」とは何か
(18)山本直樹『ありがとう』――「家庭崩壊」とその時代
(19)明るい絶望。元気
内容説明
手塚治虫の死後、まんが状況はどのように変化したのか?石ノ森章太郎らの死、「少年ジャンプ」の凋落、「有害」コミック問題―まんが界を揺るがした出来事や作品を通して、まんがの現状を診断する。
目次
第1章 手塚治虫のいない日々(不在の耐えられない軽さ―手塚治虫のいない日々のために;アナザー・ワン・マンズ・ドリーム―事業家としての手塚治虫;まんがはなぜ「差別」を描くのか―手塚作品への抗議をめぐって ほか)
第2章 全てまんがになる日まで(物語ることへの欲望は消えたか―少年まんがの変容とその可能性;「コミック文化」の現在―だれが「まんが」を読んでいるのか?;まんがは高校生になぜ読まれるのか―情報化社会における飢餓の感覚について ほか)
第3章 「戦後まんが」への挽歌(君去りしのち―追悼・手塚治虫さん;入魂の遺作『あっかんべェ一休』―追悼・坂口尚さん;長井さんと、話さなかったこと―追悼・長井勝一さん ほか)
第4章 まんがスクラップ・ブック(“虚構の性”をめぐって―手塚治虫『リボンの騎士』と宝塚歌劇;孤独な慰霊碑―『人間ども集まれ!』と大人まんがにおける手塚治虫;『ジャングル大帝』オリジナル版の復刻 ほか)
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