青弓社ライブラリー<br> 美術館の政治学

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青弓社ライブラリー
美術館の政治学

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  • サイズ B6判/ページ数 237p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787232724
  • NDC分類 706.9
  • Cコード C0336

出版社内容情報

ミュージアムパークとしての上野公園、近・現代の「暴力」そのものを展示する遊就館、1980年代の文化的象徴=セゾン美術館などを取り上げながら明治期以降の歴史をたどり、グローバリゼーションなどを俎上に載せて美術館という思想を縦横に批評する。

序章 日本のミュージアムの現状と課題とは?
 1 サムスン・リウム美術館
 2 世界のミュージアム事情
 3 国立新美術館――日本の美術館の縮図
 4 本書の構成

第1章 万国博覧会という劇場
 1 万博とミュージアム
 2 メディアとしての博覧会
 3 大阪万博――未曾有の国家的イヴェント
 4 皇紀二千六百年博の再来
 5 愛・地球博――万博の現在と未来

第2章 思想としての日本民藝館
 1 日本民藝館とは?
 2 柳宗悦――その関心の軌跡
 3 「民藝」の誕生と美術館構想
 4 平和主義とオリエンタリズム
 5 モノの思想
 6 宗悦の美術館観
 7 日本民藝館の現在と今後

第3章 上野公園の美術と記憶――ミュージアムパークのゆくえ
 1 リニューアルした東博
 2 「文化の森」以前の上野公園
 3 町田久成――上野の山に博物館建設を夢見た男
 4 博覧会から博物館へ
 5 巨大化する博物館
 6 「美術」と「記憶」
 7 「上野の山」の現在と未来

第4章 戦争展示のポリティクス――遊就館の両義性
 1 神社のなかのミュージアム
 2 靖国の由来と歴史
 3 「英霊顕彰」の展示とは?
 4 その展示の特徴
 5 戦争博物館のタイプ
 6 遊就館の存在意義
 7 美術館としての遊就館

第5章 セゾン美術館から森美術館へ――〈文化〉の転換と美術館
 1 ミュージアムとしての催事場
 2 西武美術館――その前史と黎明期
 3 三つの方向性――西武美術館の多彩な活動
 4 セゾングループの文化戦略
 5 セゾン文化の黄昏と人材の流出
 6 森美術館――新たなメガ・ミュージアムの誕生

第6章 ICCとメディアアートの(不)可能性
 1 緊急ライヴ・イヴェント『ic uc wc』
 2 ICCの十六年――構想から開館以降
 3 表面化する問題と閉館の危機
 4 存続問題の顕在化
 5 ICCの公共性と情報開示
 6 ICCの存在価値はどこに?
 7 活動を再開したICCのこれから

第7章 美術館と地域文化
 1 山口情報芸術センター――地方都市の情報戦略とメディアテーク
 2 金沢21世紀美術館――市民参加型美術館の地域再生戦略
 3 遺跡のなかの美術館

第8章 国公立美術館の現状と課題――独立行政法人と美術館経営
 1 制度上の諸問題
 2 独立行政法人の功罪
 3 公立美術館の経営問題
 4 改善委員会の提言と再建
 5 今後の展覧会企画

第9章 グローバリズムのなかの「ミュージアム」
 1 マルチカルチュラリズムという概念
 2 グローバリゼーションという概念

参考文献
あとがき

内容説明

国立新美術館をはじめとする美術館の建設ラッシュは、何を意味しているのか。明治期以降の美術館の歴史的展開をひもときながら、思想としての日本民藝館、ミュージアムパーク=上野公園の記憶と美術、近代史の矛盾を抱える遊就館、80年代文化の象徴であるセゾン美術館、地方都市の地域文化と美術館の関係性、指定管理者制度をはじめとする美術館経営などの具体的な問題群を取り上げて、文化装置としての美術館をめぐるさまざまな政治的力学を解明する。美術館という“場”を批評的に読み解き、マルチカルチュラリズムやグローバリゼーションをも議論の俎上に載せてその可能性に光を当てて、縦横無尽に美術館を語り思考するミュージアム・スタディーズの成果。

目次

序章 日本のミュージアムの現状と課題とは?
第1章 万国博覧会という劇場
第2章 思想としての日本民藝館
第3章 上野公園の美術と記憶―ミュージアムパークのゆくえ
第4章 戦争展示のポリティクス―遊就館の両義性
第5章 セゾン美術館から森美術館へ―“文化”の転換と美術館
第6章 ICCとメディアアートの(不)可能性
第7章 美術館と地域文化
第8章 国公立美術館の現状と課題―独立行政法人と美術館経営
第9章 グローバリズムのなかの「ミュージアム」

著者等紹介

暮沢剛巳[クレサワタケミ]
1966年、青森県生まれ。評論家として、美術・建築・デザインなどを対象に執筆や翻訳活動をおこなう。武蔵野美術大学、多摩美術大学、女子美術大学、筑波大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

34
新美術館や日本民藝館、セゾン美術館といった個々の美術館に焦点を当てながら、日本に存在する美術館の現状やそれが抱える課題を明らかにしている。新美術館は英語では「ミュージアム」という名称を使われていないことや、最近閉店したリブロを含むセゾン文化が衰退に至る経緯についての話は興味深かった。制度体制的な問題点についての言及もされているが、やはり美術館という枠が日本の文化歴史にどれだけ根付いているのかが根本にあるのだろう。もちろんそれは美術館の問題だけではなく、日本という社会が抱える問題点そのものでもある。2015/09/05

浅香山三郎

13
2007年の本で(暫く積ん読だつた本で)あるが、このあとに読んだ『博物館と文化財の危機』や『美術展の不都合な真実』などと並び、コロナ自粛下でタイムリーな読書となつた。もともと、著者が様々な機会に書いた批評をまとめたものだが、ミュージアムの日本における歴史的展開を整理し、文化政策でも文化財保護でもなく観光戦略として構想されるミュージアムの位置付けの問題に及ぶ論点の提示は、13年後の現在でも有効である。学芸員資格科目を履修する大学生や大学院生にも読んで欲しい本である。2020/05/26

msykst

12
一言で言えば、日本の美術館や文化施設を例に、それがどんな政治的/経済的背景の中で作られ、運営されてるのかという本。東博や民藝館から、国立新美や金沢21世紀まで時制は幅広いが、上梓されたのが2007年なので後者については進行形で書かれている。地方の美術館建設ラッシュや指定管理者制度についてはそれがもたらす苦境について書かれてるけど、希望的ビジョンも描かれてて、両義的。が、やはり、その後の展開はシビアな方に行ったんじゃないか。多文化主義への評価等々、今読むとしたらその後の批判や展開も織り込んだ方が良きかと。2020/05/17

doji

0
さまざまな視点からの多角的な美術館についての考察はとてもあたまをもみほぐす読み応えがあったと思う。靖国や民藝についての章もおもしろい。全体として、著者の問題意識とそれに対する厳しい視線が印象的だった。2017/05/16

komatchy

0
前半は日本の博物館・美術館成立の歴史、後半は現状課題。各章で内容が独立してるので、興味のある部分だけ読むのも可能。それぞれの話題や問題提起は興味深いが、1つ1つがそれだけで1冊本が書ける規模のテーマなので、この本だけに盛り込むにはムリもある。しかし、美術館を取り巻く様々なことを知るのはわかり易くていい本。2012/04/11

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