出版社内容情報
急速な進歩を遂げる現代医療は、患者をたんなる医療客体=操作対象へとおとしめた。技術革新の波にゆらぐいのちと向き合った、心と体の一体性を重視した医療の実践は可能なのか。先端医療・法律・倫理の現場から人間の生死の未来像を鋭利に照射する論考集。
まえがき 三島淑臣
第1部 生命倫理の深化のために
第1章 生命倫理の回顧と展望 加茂直樹
1 研究の発端
2 人間の出生と生殖――過去から現代へ
3 子どもを産む/産まないに関して
4 新しい生殖技術の利用に関して
5 出生前診断に関して
第2章 多胎減数手術を検討する――女性の自己決定権か 伊佐智子
1 多胎減数手術の臨床的状況
2 多胎減数手術に関する諸外国の動向とその法的取り扱い
3 日本における多胎減数手術の法的議論
4 多胎減数手術についての倫理的議論
第3章 生殖補助医療における生命倫理――一九九〇年イギリスと旧西ドイツの法律を中心として 丸山マサ美
1 生殖補助医療の本質
2 先進諸国における生殖技術の対応
3 イギリスと旧西ドイツの委員会設立から立法化までの経緯
4 非婚姻者間の生殖補助医療の問題点
第4章 発症前診断における個人の権利と社会の権利 ダリル・メイサー[酒匂一郎訳]
1 生命倫理と遺伝子的予測
2 発症のリスクを下げるためのスクリーニング
3 発症前診断と生殖の責任
場と生命倫理
第7章 臨床倫理の考え方と課題 白浜雅司
1 生命倫理・臨床倫理という学問が成立した背景
2 臨床倫理とは何か
3 臨床倫理の考え方
4 臨床倫理の四分割法を使った分析法
5 臨床倫理の四分割法を用いた具体的事例の検討
6 倫理的問題解決の障害とその対策――今後のさらなる発展のために
第8章 在宅ホスピスにおけるバイオエシックスの問題――告知・自己決定・QOLと希望 二ノ坂保喜
1 在宅ホスピスケアとは
2 「患者とともに歩む医療」の出発点としての告知
3 自己決定というけれど……
4 QOLと希望
5 医師の役割の変化――おわりにかえて
第9章 「脳死」移植問題を考える――医療現場の感覚と生命倫理の乖離 松本文六
1 臓器移植の種々相と「脳死」移植の論点
2 そもそも「脳死」とは何を指すのか
3 脳低温療法が示すもの
4 移植の拡大とその問題点
5 「脳死」を前提とする臓器移植の問題点
第10章 現代医学におびやかされる生命 山口研一郎
1 日本の医学・医療の現状
2 生命科学をめぐる
内容説明
臓器移植、遺伝子診断、安楽死―医療テクノロジーの進歩で揺らぐ「いのち」のあわいに「生きるとは」「死ぬとは」を問う。先端の医療・法律・倫理の現場から、人間の生死の未来像を鋭利に照射する論考集。
目次
第1部 生命倫理の深化のために(生命倫理の回顧と展望;多胎減数手術を検討する―女性の自己決定権か;生殖補助医療における生命倫理―一九九〇年イギリスと旧西ドイツの法律を中心として;発症前診断における個人の権利と社会の権利;死の決定―アメリカと日本の生命倫理概念の比較;人間は翼を持ち始めるのか?―近未来的人間改造に関する覚書)
第2部 医療の現場と生命倫理(臨床倫理の考え方と課題;在宅ホスピスにおけるバイオエシックスの課題―告知・自己決定・QOLと希望;「脳死」移植問題を考える―医療現場の感覚と生命倫理との乖離;現代医学におびやかされる生命)
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