幻視する近代空間―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶 (新装版)

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幻視する近代空間―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 214p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784787231444
  • NDC分類 387
  • Cコード C0039

出版社内容情報

近代化との相克のなかであぶり出された「血税一揆」「トラホーム」「狐憑き」「座敷牢」など、さまざまな「事件」に投影された民衆の心性・コスモロジーの変容と、国家による「死の共同体」へと統合されていく過程を透視する転換期の精神史。新装版。

はじめに――厄災の「民俗」あるいは歴史の記憶からの出立

1 〈迷信〉と感情教育
(1)「血税一揆」の民俗的心性
  「血取り」「膏取り」の流言/「血税一揆」の生成/「血取り」のフォークロア/〈異人〉のフォークロア/〈異人〉の再生
(2)トラホームと感情教育
  文明開化と〈迷信〉/〈迷信〉のあぶりだし/病いと衛生/トラホームの出現/「迷信を避けよ」/感情教育への水路

2 狐憑きから「脳病」「神経病」へ
(1)狐憑きの民俗
  狐憑きの報道/近世の狐憑き論/生活世界での狐憑き/民俗治療と処遇
(2)精神医学の狐憑きへの視線
  狐憑きのフィールド・ワーク/ベルツの狐憑き論/呉秀三の狐憑き論/門脇真枝の狐憑き論
(3)「脳病」「神経病」のイデオロギー
  「脳病」「神経病」の来歴と流布/感覚・知覚の変容/「脳病」「神経病」薬の効能/「脳病」「神経病」の通俗化/イコン

3 座敷牢と幻視する霊魂
(1)座敷牢の生産
  相馬事件と「精神病者監護法」/座敷牢の実態/座敷牢のフォークロア
(2)狐憑きから妄想へ
  狐憑きの試練/「芦原将軍」の闘争/「妄想」考/パロディスト「

内容説明

近代化との相克のなかであぶりだされた「血税一揆」「トラホーム」「狐憑き」「座敷牢」などさまざまな「事件」に投影された民衆の心性・コスモロジーの変容と、国家による「死の共同体」へと統合されていく過程を透視する転換期の精神史。

目次

1 「迷信」と感情教育(「血税一揆」の民俗的心性;トラホームと感情教育)
2 狐憑きから「脳病」「神経病」へ(狐憑きの民俗;精神医学の狐憑きへの視線;「脳病」「神経病」のイデオロギー)
3 座敷牢と幻視する霊魂(座敷牢の生産;狐憑きから妄想へ;出口なおの近代 日常性批判)
4 近代日本と霊魂の行方

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

佐倉

16
『怪異の民俗学』から。血税一揆、トラホーム、座敷牢など迷信と病を軸に近代化が日本人の精神観と肉体観にどのような変化を及ぼしたのかを探っていく。血税一揆の背後にあるフォークロアと情勢、近代と対置するため前近代の事物を迷信と位置付け否定する動き、儀式を行えば癒せるものだった狐憑きが脳科学や遺伝学の受容、軍や産業に従事する資源を求める国家などの諸要因によって治る見込みのない精神病へと変わって行く流れ…社会と価値観の変化が混乱と暴力を引き起こすのはいつの時代も同じ。現代に参照しても読める普遍的な一冊だった。2025/01/13

渋江照彦

1
思った以上に面白かったです。色々と考える材料になる本ではないでしょうか。2015/05/02

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